建艦競争(けんかんきょうそう、英語: Naval arms race)は、二国あるいは多国間における軍拡競争の一形態で、軍艦を中心とした海軍力整備を互いに競い合う状況を示す言葉である。 軍拡競争は、既に存在するスーパーパワーに新興勢力が挑戦するか、既存のパワーバランスが新装備の導入等によって一時的に崩れた場合に再構築が図られる、等のパターンにより生起するが、建艦競争もこの例に漏れない。他と比べて特徴的なのは、海軍力の象徴である主力艦の性能や保有量の把握が比較的容易であり、重要な指標となりやすいことである。 また、特に潜水艦や航空戦力以前の、自己の存在をほぼ掩蔽できない状況で命中率の低い公算射撃によっていた水上艦の戦闘では、陸戦の無限に存在する遮蔽物を利用した奇襲・防御や、航空戦の機動性による第一撃の決定的優位といった要素がないため、兵器質量差を運用で埋められる余地が乏しく、仮想敵の新たな艦に対抗する艦が強く必要とされ、対立関係のある限り自動的に建艦競争が続くという構造を生じた。わけても水上戦闘艦の頂点であり同じく戦艦でしか撃破しえないと考えられていた時代の戦艦に顕著である。

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  • 建艦競争(けんかんきょうそう、英語: Naval arms race)は、二国あるいは多国間における軍拡競争の一形態で、軍艦を中心とした海軍力整備を互いに競い合う状況を示す言葉である。 軍拡競争は、既に存在するスーパーパワーに新興勢力が挑戦するか、既存のパワーバランスが新装備の導入等によって一時的に崩れた場合に再構築が図られる、等のパターンにより生起するが、建艦競争もこの例に漏れない。他と比べて特徴的なのは、海軍力の象徴である主力艦の性能や保有量の把握が比較的容易であり、重要な指標となりやすいことである。 また、特に潜水艦や航空戦力以前の、自己の存在をほぼ掩蔽できない状況で命中率の低い公算射撃によっていた水上艦の戦闘では、陸戦の無限に存在する遮蔽物を利用した奇襲・防御や、航空戦の機動性による第一撃の決定的優位といった要素がないため、兵器質量差を運用で埋められる余地が乏しく、仮想敵の新たな艦に対抗する艦が強く必要とされ、対立関係のある限り自動的に建艦競争が続くという構造を生じた。わけても水上戦闘艦の頂点であり同じく戦艦でしか撃破しえないと考えられていた時代の戦艦に顕著である。 建艦競争の継続は、他の軍拡と同様に関係国間での緊張あるいは衝突に至る対立を生む。また、軍艦の整備には長い時間と膨大なコストを要することから国家財政上の大きな負担になる。このため、緊張緩和と軍事費削減を目的とした軍縮に至る結末もまま見られる一方、実際に戦争に至ってしまったと評される事例もある。 (ja)
  • 建艦競争(けんかんきょうそう、英語: Naval arms race)は、二国あるいは多国間における軍拡競争の一形態で、軍艦を中心とした海軍力整備を互いに競い合う状況を示す言葉である。 軍拡競争は、既に存在するスーパーパワーに新興勢力が挑戦するか、既存のパワーバランスが新装備の導入等によって一時的に崩れた場合に再構築が図られる、等のパターンにより生起するが、建艦競争もこの例に漏れない。他と比べて特徴的なのは、海軍力の象徴である主力艦の性能や保有量の把握が比較的容易であり、重要な指標となりやすいことである。 また、特に潜水艦や航空戦力以前の、自己の存在をほぼ掩蔽できない状況で命中率の低い公算射撃によっていた水上艦の戦闘では、陸戦の無限に存在する遮蔽物を利用した奇襲・防御や、航空戦の機動性による第一撃の決定的優位といった要素がないため、兵器質量差を運用で埋められる余地が乏しく、仮想敵の新たな艦に対抗する艦が強く必要とされ、対立関係のある限り自動的に建艦競争が続くという構造を生じた。わけても水上戦闘艦の頂点であり同じく戦艦でしか撃破しえないと考えられていた時代の戦艦に顕著である。 建艦競争の継続は、他の軍拡と同様に関係国間での緊張あるいは衝突に至る対立を生む。また、軍艦の整備には長い時間と膨大なコストを要することから国家財政上の大きな負担になる。このため、緊張緩和と軍事費削減を目的とした軍縮に至る結末もまま見られる一方、実際に戦争に至ってしまったと評される事例もある。 (ja)
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  • 建艦競争(けんかんきょうそう、英語: Naval arms race)は、二国あるいは多国間における軍拡競争の一形態で、軍艦を中心とした海軍力整備を互いに競い合う状況を示す言葉である。 軍拡競争は、既に存在するスーパーパワーに新興勢力が挑戦するか、既存のパワーバランスが新装備の導入等によって一時的に崩れた場合に再構築が図られる、等のパターンにより生起するが、建艦競争もこの例に漏れない。他と比べて特徴的なのは、海軍力の象徴である主力艦の性能や保有量の把握が比較的容易であり、重要な指標となりやすいことである。 また、特に潜水艦や航空戦力以前の、自己の存在をほぼ掩蔽できない状況で命中率の低い公算射撃によっていた水上艦の戦闘では、陸戦の無限に存在する遮蔽物を利用した奇襲・防御や、航空戦の機動性による第一撃の決定的優位といった要素がないため、兵器質量差を運用で埋められる余地が乏しく、仮想敵の新たな艦に対抗する艦が強く必要とされ、対立関係のある限り自動的に建艦競争が続くという構造を生じた。わけても水上戦闘艦の頂点であり同じく戦艦でしか撃破しえないと考えられていた時代の戦艦に顕著である。 (ja)
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  • 建艦競争 (ja)
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