タラソクラシー(古代ギリシア語: θάλασσα 海 + κρατεῖν 支配 / 力→ コイネー: θαλασσοκρατία, ラテン文字表記:thalassokratia、英語:thalassocracy / thalattocracy)は、主として海洋領域を有する国家、および海上帝国を指す。伝統的なタラソクラシーは、自国の領土でさえその内陸部を支配することはほとんどなかった。その歴史的事例は、地中海のティルスやサイダ、などのフェニキア人の国家、海域東南アジアのシュリーヴィジャヤ王国やマジャパヒト王国といったオーストロネシア人の国家などである。この旧来のタラソクラシーの意味は、国家の領土が(主に、あるいは単独で海上交通路により結ばれている可能性はあるが)一般的に本土の内陸部にまで広がっている「帝国」とは区別されうる。とは対比される概念でもある。 タラソクラシーという用語は、単に軍事的あるいは商業的な意味での制海権を指すこともある。最初にこの語を用いたのは、国力がその海軍に依存していたミノア文明の統治体制について記述した、古代ギリシア人であった。また、紀元前5世紀ごろの歴史家ヘロドトスはシーパワーとランドパワーを区別し、ギリシアの「海の帝国」を発展させることでフェニキアのタラソクラシーに対抗する必要性を説いた。