象牙(ぞうげ、英語:ivory、アイボリー)は、ゾウの牙や歯から採取される硬くて白い物質で、歯や牙の物理構造の一つである象牙質を主成分としている。多くの哺乳類の「牙」と称される長く尖った歯は犬歯が発達したものであるが、ゾウの牙は門歯が発達したものである点が異なる。ゾウの生活において象牙は鼻とともに採餌活動などに重要な役割を果たしている。 材質が美しく加工も容易であるため、古代から芸術や工芸品や製造業において、象牙彫刻、義歯、ピアノの鍵盤、扇子、ドミノなど、様々な物を作るために重宝されてきた。そのような用途では、動物の牙のうち象牙が最も頻繁に使われてきたが、マンモス、セイウチ、カバ、マッコウクジラ、シャチ、イッカク、イボイノシシなどの牙も使用されてきた。なお、エルクには2本の牙の歯があり、これは祖先の牙の名残と考えられている。 象牙は英語圏では「アイボリー」と呼ばれ、古代エジプトのâb、âbu(「象」)から、ラテン語のebor-またはeburを介して派生した語句である。「アイボリー」という語句は、象牙以外にも、彫ったり削ったりするのに十分な大きさの商業的に関心を持たれている哺乳類の歯や牙を表す総称として使用されることがある。これは、哺乳類の歯や牙の化学構造は原種を問わず同じであり、象以外の哺乳類の歯や牙の取引が広く行われているためである。