数学の文脈における「—(の違い)を除いて…」 (のちがいをのぞいて、… "up to" —) という語句は、「— に関する差異を無視する」ことを意味する専門用語である。この言い回しの意味するところは、「適当な目的のもとでは、あるひとつの同値類に属する元全体を、何か単一の実体を表すものとみなせる」ということである。"—" の部分には、何らかの性質や、同じ同値類に属する元(つまり一方は他方に同値となるような元)の間の変換の過程を記述する内容が入る。 たとえば不定積分を計算するとき、その結果は「定数項の違いを除いて」 f (x) であるというように言うことができる。その意味は、f (x) 以外に不定積分 g(x) があったとしても g(x) = f (x) + C (C は定数)と書くことができ、その後の論理展開において f のかわりに g を用いても影響がないことを示唆している。また例えば群論で、群 G が X に作用するとき、X のふたつの元が同じに属するならば、それらは「群作用の違いを除いて」同値であると言い表すことができる。

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  • 数学の文脈における「—(の違い)を除いて…」 (のちがいをのぞいて、… "up to" —) という語句は、「— に関する差異を無視する」ことを意味する専門用語である。この言い回しの意味するところは、「適当な目的のもとでは、あるひとつの同値類に属する元全体を、何か単一の実体を表すものとみなせる」ということである。"—" の部分には、何らかの性質や、同じ同値類に属する元(つまり一方は他方に同値となるような元)の間の変換の過程を記述する内容が入る。 たとえば不定積分を計算するとき、その結果は「定数項の違いを除いて」 f (x) であるというように言うことができる。その意味は、f (x) 以外に不定積分 g(x) があったとしても g(x) = f (x) + C (C は定数)と書くことができ、その後の論理展開において f のかわりに g を用いても影響がないことを示唆している。また例えば群論で、群 G が X に作用するとき、X のふたつの元が同じに属するならば、それらは「群作用の違いを除いて」同値であると言い表すことができる。 注: 少し砕けた言い方ということにはなるが、同じ目的で「— で割って」「— を法として」(modulo —, mod —) と言い回すこともよく行われる。以下に挙げる例であれば、「位数 4 の群は同型で割れば(mod 同型で)2種類である」とか、「クイーンの名前を法として92個の解がある」といった具合である。この言い回しは合同算術における「7 と 11 とは 4 を法として(あるいは 4 で割った余りが)等しい」というような構文の流用である(もちろん、聞き手がこういった略式の数学用語に慣れていることが前提)。 (ja)
  • 数学の文脈における「—(の違い)を除いて…」 (のちがいをのぞいて、… "up to" —) という語句は、「— に関する差異を無視する」ことを意味する専門用語である。この言い回しの意味するところは、「適当な目的のもとでは、あるひとつの同値類に属する元全体を、何か単一の実体を表すものとみなせる」ということである。"—" の部分には、何らかの性質や、同じ同値類に属する元(つまり一方は他方に同値となるような元)の間の変換の過程を記述する内容が入る。 たとえば不定積分を計算するとき、その結果は「定数項の違いを除いて」 f (x) であるというように言うことができる。その意味は、f (x) 以外に不定積分 g(x) があったとしても g(x) = f (x) + C (C は定数)と書くことができ、その後の論理展開において f のかわりに g を用いても影響がないことを示唆している。また例えば群論で、群 G が X に作用するとき、X のふたつの元が同じに属するならば、それらは「群作用の違いを除いて」同値であると言い表すことができる。 注: 少し砕けた言い方ということにはなるが、同じ目的で「— で割って」「— を法として」(modulo —, mod —) と言い回すこともよく行われる。以下に挙げる例であれば、「位数 4 の群は同型で割れば(mod 同型で)2種類である」とか、「クイーンの名前を法として92個の解がある」といった具合である。この言い回しは合同算術における「7 と 11 とは 4 を法として(あるいは 4 で割った余りが)等しい」というような構文の流用である(もちろん、聞き手がこういった略式の数学用語に慣れていることが前提)。 (ja)
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  • 数学の文脈における「—(の違い)を除いて…」 (のちがいをのぞいて、… "up to" —) という語句は、「— に関する差異を無視する」ことを意味する専門用語である。この言い回しの意味するところは、「適当な目的のもとでは、あるひとつの同値類に属する元全体を、何か単一の実体を表すものとみなせる」ということである。"—" の部分には、何らかの性質や、同じ同値類に属する元(つまり一方は他方に同値となるような元)の間の変換の過程を記述する内容が入る。 たとえば不定積分を計算するとき、その結果は「定数項の違いを除いて」 f (x) であるというように言うことができる。その意味は、f (x) 以外に不定積分 g(x) があったとしても g(x) = f (x) + C (C は定数)と書くことができ、その後の論理展開において f のかわりに g を用いても影響がないことを示唆している。また例えば群論で、群 G が X に作用するとき、X のふたつの元が同じに属するならば、それらは「群作用の違いを除いて」同値であると言い表すことができる。 (ja)
  • 数学の文脈における「—(の違い)を除いて…」 (のちがいをのぞいて、… "up to" —) という語句は、「— に関する差異を無視する」ことを意味する専門用語である。この言い回しの意味するところは、「適当な目的のもとでは、あるひとつの同値類に属する元全体を、何か単一の実体を表すものとみなせる」ということである。"—" の部分には、何らかの性質や、同じ同値類に属する元(つまり一方は他方に同値となるような元)の間の変換の過程を記述する内容が入る。 たとえば不定積分を計算するとき、その結果は「定数項の違いを除いて」 f (x) であるというように言うことができる。その意味は、f (x) 以外に不定積分 g(x) があったとしても g(x) = f (x) + C (C は定数)と書くことができ、その後の論理展開において f のかわりに g を用いても影響がないことを示唆している。また例えば群論で、群 G が X に作用するとき、X のふたつの元が同じに属するならば、それらは「群作用の違いを除いて」同値であると言い表すことができる。 (ja)
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  • 違いを除いて (ja)
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