優生学(ゆうせいがく、英: eugenics)は、19世紀末から20世紀半ばにかけて多くの先進国で受け入れられてきた考え方で、進化論と遺伝学を人間に当てはめ、集団の遺伝的な質を向上させることを目的とした一連の信念と実践である。学問としての優生学は19世紀後半にフランシス・ゴールトンが首唱し、悪質の遺伝形質を淘汰し、優良な遺伝形質を保存することを目的とする。優生学の実践には、「生殖適性者」に生殖を促すというものと、結婚の禁止や強制不妊手術(断種)などのものがある。障害者や犯罪者、少数民族が「生殖に適さない」とされることが多かった。 優生学にもとづいた政策は特にアメリカ、ドイツ、北欧、スイス、カナダ、日本で広く実施された。日本では「国民優生法(1940 - 1948)」「優生保護法(1948 - 1996)」に基づき、精神疾患やハンセン病患者の断種手術や人工妊娠中絶が行われていた。 1980年代から1990年代にかけて、体外受精・着床前診断・出生前診断など、新しい生殖補助医療が利用可能になり、優生学がより強力な形で復活する可能性がある。近年、ゲノム編集や遺伝子検査などの新技術の利用をめぐる生命倫理的な議論において、これらの技術を優生学と呼ぶべきかどうか、激しい議論が行われている。