『潮騒』(しおさい)は、三島由紀夫の10作目の長編小説。中編小説とみなされることもある。 三島の代表作の一つで、何度も映画化されるなど一般的にも人気の高い作品である。三重県鳥羽市に属する歌島(現在の神島の古名)を舞台に、若く純朴な恋人同士の漁夫と海女が、いくつもの障害や困難を乗り越え、純愛が成就するまでを描いた物語。古代ギリシアの散文作品『ダフニスとクロエ』に着想を得て書かれた作品である。 1954年(昭和29年)6月10日に書き下ろしで新潮社より刊行された。ベストセラーとなり、第1回(1954年度)新潮社文学賞を受賞した。刊行後すぐに複数の映画会社が映画化をめぐり争奪戦となり、アメリカでも翻訳出版されベストセラーとなった。文庫版は翌1955年(昭和30年)12月25日に新潮文庫より刊行された。翻訳版はメレディス・ウェザビー訳(英題:The Sound of Waves)をはじめ、世界各国多数で行われている。