『詩を書く少年』(しをかくしょうねん)は、三島由紀夫の短編小説。三島の自伝的作品である。詩の天才と自認し、詩作の幸福に酩酊していた少年が、或る親しい先輩の恋愛の告白の中からその滑稽さと、自らの無意識のナルシシズムを発見し自意識に目ざめる物語。詩作に耽溺していた15歳の頃の自分を、30歳を前にした三島が冷静に顧みた私小説的作品で、少年(三島)が詩人にならずに小説家になったその転機と、三島文学全体にわたる一つの主題を考察する上で、重要な手がかりとなる作品である。なお、作中に登場する文芸部の先輩Rのモデルは、三島の学習院時代の先輩であった坊城俊民である。