弥生土器(やよいどき)は、弥生時代に使われた軟質素焼きの土器。一般的に「縄文土器と比べると形・装飾が簡素で、高温で焼かれて明るく硬い」と評されるが、実際には一概に言い切れるものではなく、地域ごとに個性豊かに発達した。また、先行する縄文土器や後続する土師器との区別も明確ではなく、その線引きは研究者でも一致していない。 弥生土器は狩猟採集社会から農耕社会に変化する過程で、在来土器に朝鮮半島の無文土器の製作技術や彩文手法を採り入れて成立したとする説が有力である。縄文時代に煮炊きに用いられた深鉢は、弥生土器では蓋を被せる甕に変化し、さらに穀物を保存するための壺が大量に作られるようになる。また、食器として用いた高杯や、葬祭・祭祀に用いる甕棺や特殊器台・特殊壺などは、弥生文化の一面を表すと考えられる。現在の弥生土器研究は地域ごとに行われているが、いわゆる広域編年については見解が一致していない。