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  • 枯草菌(こそうきん)は、自然界に普遍的に存在する真正細菌の一種。学名はBacillus subtilis(本来ラテン語ではバキッルス・スプティーリス(細い小さな棒)だが、通常バチルス・サブティリスまたは、バシラス・サチリスが使用される)。0.7-0.8 x 2-3 µmの大きさの好気性のグラム陽性桿菌で、芽胞を形成する。土壌中や、空気中に飛散している常在細菌(空中雑菌)の一つで、枯れた草の表面などからも分離されることが多いためにその名が付けられた。芽胞を作ることによって熱や消毒薬などに対する耐久性を示すため、培地や食品の汚染(コンタミネーション)の原因になることがあるため、培養には細心の注意が必要となる。ヒトに対する病原性を持たないため医学上問題視されることは少ないと考えられているが、菌血症、心内膜炎、呼吸器感染症、食中毒、眼感染症をごく稀に引き起こす。藁などの枯れた草(特にイネ科草本の枯死した茎葉が多く用いられる)を水に浸けて煮沸すると、ほとんどの微生物はその熱によって死滅するが、枯草菌の芽胞は高い耐熱性を持つため生き残る。その後、浸出液を放置すると芽胞が発芽して、枯草菌が優占して繁殖する。枯草菌は好気性であるため浸出液の液面で増殖し、また菌膜(バイオフィルム)を産生して液面を覆うことが多い。この現象は、ルイ・パスツールが白鳥の首フラスコによる実験で微生物の自然発生説を否定した後、ジョン・ティンダルによってその例外的な現象として発見された。この性質を利用して自然環境から枯草菌を分離することが可能である。また稲わらを用いた伝統的な納豆は、煮沸した稲わらを使って煮た大豆を包んで製造するが、これは煮沸によって雑菌が死滅し、枯草菌の一種である納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)の芽胞だけが生き残る性質を利用したものである。煮沸後、一晩放置して枯草菌が増殖した浸出液を再び煮沸すると、枯草菌のほとんどは芽胞ではなく通常の菌体として増殖しているため、一回の煮沸では除去できない枯草菌のほとんどを加熱殺菌することが可能である。この滅菌方法を間欠滅菌と呼ぶ。通常は、間に一晩静置をそれぞれ挟んで煮沸を三回繰り返して行われる。この他、枯草菌芽胞を完全に除去するには、オートクレーブ滅菌(120℃、2気圧、15分以上)や乾熱滅菌(180℃、30分以上など)、ろ過滅菌など、「滅菌」と呼ばれるレベルの殺菌処理が必要である。
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