『文藝時代』(ぶんげいじだい)は、日本の文芸雑誌。1924年(大正13年)10月に金星堂から創刊された。誌名は「宗教時代より文藝時代へ」という意図で、発起人の川端康成により名付けられた。 創刊号に掲載された横光利一の「頭ならびに腹」の独特な文体により、同人らは「新感覚派」と命名され注目を浴びたが、その後の主要な有力同人の個別活動の活発化や、左傾化した一部同人の離脱、売上げ不振などにより1927年(昭和2年)5月号(第4巻第5号)をもって終刊した(通巻32冊)。 第一次世界大戦期のヨーロッパで興ったダダイスム、芸術の革命が目指されたアバンギャルド運動、ドイツ表現主義に触発されて創刊された『文藝時代』は、従来の自然主義文学や客観主義を超える独自の新主観主義的な新しい感覚表現を目指した。主要同人の川端康成、横光利一らの作品はモダニズム文学として評価され、『文藝時代』は、青野季吉らプロレタリア文学派の『文藝戦線』とともに、大正後期から昭和初期にかけての大きな文学の二大潮流となった。