『後醍醐天皇宸翰天長印信(蠟牋)』(ごだいごてんのうしんかんてんちょういんじんろうせん)は、南北朝時代、後醍醐天皇が筆写し、その護持僧の文観房弘真が料紙装飾・奥書した、真言宗文書・書作品・密教美術。通称は『天長印信』(てんちょういんじん)。国宝。醍醐寺蔵。宸翰とは天皇の直筆文を指し、書作品としても優れたものが多いことから、「書の王者」とも呼ばれる。本作品は、それらに冠たる荘厳な書蹟と評される。特に、和様(日本独自の書風)に中国の禅林墨跡の書風を交えた宸翰様(しんかんよう)と呼ばれる書風の代表例である。また、蠟牋(文様が磨き出された紙)と金泥による料紙装飾も名高い。崩御2か月前の作のため史料としても重要。