チフス(Typhus, 窒扶斯)とは、高熱や発疹を伴う細菌感染症の一種で、広義(あるいは古い定義)には下記の三種の総称。 1. * サルモネラの一種であるチフス菌 (Salmonella enterica serovar Typhi) の感染によって発症する腸チフス 2. * パラチフス菌 (Salmonella enterica serovar Paratyphi A) の感染によって発症するパラチフス 3. * 発疹チフスリケッチア (Rickettsia prowazekii) の感染によって発症する発疹チフス 狭義には、腸チフスとパラチフスの二種(=チフス性疾患)を指すことが多く、あるいは腸チフスのみを指すこともある。 医学上は、腸チフスとパラチフスは近縁な病原体による類似した疾患であるが、発疹チフスはこれら二つとはまったく異なる疾患であるため、明確に区別する必要がある。このため、これらを総称することは最早まれであり、既に単なる「チフス」という名称は、医学分野では正式な病名としては使用されていない。古い医学文献における表記や、医学的な正確性が要求されないとき(一般社会における用例など)の便宜的な表記などで、三種の総称として広義に「チフス」の名称が用いられることがある。腸チフスやパラチフスの診断にはビダール反応を使う。