アヘンチンキ (laudanum、opium tincture、阿片丁幾) はアヘン末をエタノールに浸出させたものである。アヘンのアルカロイドのほぼすべてを含んでおり、その中にはモルヒネやコデインも含まれる。モルヒネが高い濃度で含まれているため、アヘンチンキは歴史的に様々な病気の治療に使われたが、主な用法は鎮痛と咳止めだった。20世紀初頭まで、アヘンチンキは処方箋なしで買える場合もあり、多くの売薬の構成物質であったが、常習性が強いため、現在では世界の多くの地域で厳しく制限され、管理されている。現在では一般的に下痢の治療や、ヘロインや他のオピオイドの常習癖がある母親から生まれた子供の、を和らげるために用いられる。 一部のヨーロッパ文化人もこれを愛用したといわれる。中国をはじめとするアジアでの、喫煙によるアヘン摂取と違い、アヘンチンキは腸を経由するため、常習性はあったものの、廃人となるようなことはそう多くなかった。 英語圏ではローダナムとも呼ばれるが、現在の医学ではアヘンチンキの名称を用いることが多い。ローダナムという名前を与えたのはパラケルススで、その後時を経るにしたがって何種類かの処方のローダナムが誕生した。