眠狂四郎(ねむり きょうしろう)は、柴田錬三郎の剣豪小説シリーズ、その主人公の剣客。1956年から『週刊新潮』に『眠狂四郎無頼控』として連載開始し、五味康祐『柳生武芸帳』と並んで剣豪ブームを巻き起こし、たびたび映画化、テレビドラマ化、舞台化された。 『大菩薩峠』(中里介山著)の主人公机竜之助に端を発するニヒル剣士の系譜と、柴田の作風を貫くダンディズムが融合した複雑な造形がなされている。転びバテレンと日本人の混血という生い立ちによる虚無感と、平然と人を斬り捨てる残虐性を持ち、豊臣秀頼佩刀と伝わる愛刀「無想正宗」を帯び「円月殺法」という剣術を用いる。映画評論家の佐藤忠男が指摘するように歌舞伎の伝統では恋愛するのは二枚目で、立役は恋愛しないことになっているのが、西洋の騎士道と違うところで、このシリーズは明らかに伝統を破っている。