『エロ事師たち』(エロごとしたち)は、野坂昭如の長編小説。当時33歳の野坂の小説家としての処女作で、文学的にも高い評価を受けた代表作でもある。世の男どもの「エロ」を満たすため法網を潜り、あらゆる享楽の趣向を凝らし提供することを使命とする中年男の物語。「エロ事師」を取り巻く世界のどこか滑稽でグロテスクな様や猥雑な現実を、哀愁ただよう苛烈なユーモアと古典文芸的リズムの文体で綴りながら、エロティシズムの観念をアイロニックに描いている。 1963年(昭和38年)、雑誌『小説中央公論』11月号から12月号に2回連載された。三島由紀夫に激賞され、その後出版社の依頼で長編化させたものが、1966年(昭和41年)3月10日に講談社より単行本刊行された。文庫版は新潮文庫で刊行されている。翻訳版はマイケル ギャラガー訳(英題:The Pornographers)で行われている。なお、雑誌連載時の初稿版は『野坂昭如コレクション 1』に収録されている。単行本刊行同年に、今村昌平監督で映画化もされた。