『わが友ヒットラー』(わがともヒットラー)は、三島由紀夫の戯曲。全3幕から成る。アドルフ・ヒトラーが政権を獲得した翌年に起こした突撃隊粛清(レーム事件)を元にした作品である。ヒトラーに厚い友情を抱いているナチスの私兵・突撃隊幕僚長のエルンスト・レームと、全体主義の移行のために「中道」姿勢を国民に見せておく必要から極右のレーム処分を考えるヒトラーとの対比を会話劇で描いている。私兵「楯の会」を率いていた三島が、レームに理想の人物像を重ね合わせている作品でもある。登場人物が男性4人だけなので、女性6人のみの『サド侯爵夫人』と対をなす作品となっている。なお、作者・三島による脚本読みの肉声録音が残っている。