メルヘン、メルヒェン(独: Märchen)は、ドイツで発生した散文による空想的な物語。非常に古くて重要な文学形式の一つであり、英語ではフェアリーテール(fairy tale)、フランスではコント(contes de fée)と呼ばれるものに相当する。そのルーツを説話(おとぎ話)、口承文芸に持つフォルクスメルヘン(Volksmärchen、民話、民間メルヘン)と、それらを元に創作したクンストメルヘン(Kunstmärchen、創作メルヘン、創作童話)がある。 メルヘンの特徴として、動物が話をしたり、魔女や魔法使い、巨人といった魔法の助けを得るなどの空想的な要素がある。メルヘンにおいて、善悪は、喜びや怒りの形で明確に分離される。その中ではヒーローは、喜びと怒りの対立、自然と奇跡的な強さの中心にいる。ヒーローはしばしば、表面的には末っ子のような弱い人物である。しかし物語の終わりには、善は報いられ、悪は罰せられる(勧善懲悪)。 メルヘンは広汎な民衆文学であり、その全てが子供向けの牧歌的な童話とは限らない。メルヘンが子供にふさわしいかという議論では、近代の市民社会が形成される以前と以後では、子供の概念が変化している事に留意する必要がある。