フン族の起源(フンぞくのきげん)では、4世紀から6世紀にかけて中央アジアからヨーロッパにかけて広く影響力を及ぼしたフン族の起源と、関連が指摘されている諸集団に関する議論について述べる。古代より文献には「」と呼ばれる勢力(、、、エフタル、など)が言及されており、これらとフン族の関係については長きにわたり歴史学上の論争が続いている。特に有名なフン族の起源論として、中国史上の匈奴と同一視する説がある。これは1757年にジョゼフ・ド・ギーニュが提唱し、エドワード・ギボンが普及させたものである。それ以降、多くの歴史学者が言語学・歴史学・考古学などの観点からフン族と匈奴の関係性を見つけ出そうとしたが、20世紀半ばに中国学者のオットー・メンヒェン=ヘルフェンの批判を受け、この仮説は下火になった。近年になって、フン族と匈奴の間に新たに部分的な関係を見出す研究が発表されている。このため匈奴・フン同族説は一仮説として再び歴史学の主流へと戻ってきたが、未だに議論が続いている。 なお、匈奴は48年に南北に分裂し、南匈奴は後漢に従った後魏晋南北朝時代まで命脈を保っている。フン族との関連が指摘されているのは北方に残り2世紀に中国史上から姿を消した北匈奴のみであるが、欧米文献では単に匈奴(Xiongnu)とされることが多い。そのため、本項でも特に断りがなくとも「匈奴」という名を北匈奴を指すものとして用いる。

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  • フン族の起源(フンぞくのきげん)では、4世紀から6世紀にかけて中央アジアからヨーロッパにかけて広く影響力を及ぼしたフン族の起源と、関連が指摘されている諸集団に関する議論について述べる。古代より文献には「」と呼ばれる勢力(、、、エフタル、など)が言及されており、これらとフン族の関係については長きにわたり歴史学上の論争が続いている。特に有名なフン族の起源論として、中国史上の匈奴と同一視する説がある。これは1757年にジョゼフ・ド・ギーニュが提唱し、エドワード・ギボンが普及させたものである。それ以降、多くの歴史学者が言語学・歴史学・考古学などの観点からフン族と匈奴の関係性を見つけ出そうとしたが、20世紀半ばに中国学者のオットー・メンヒェン=ヘルフェンの批判を受け、この仮説は下火になった。近年になって、フン族と匈奴の間に新たに部分的な関係を見出す研究が発表されている。このため匈奴・フン同族説は一仮説として再び歴史学の主流へと戻ってきたが、未だに議論が続いている。 匈奴や中央アジアの諸族とフン族を結びつける最大の証拠と考えられているのが、それぞれの集団名の類似性である。すなわち「匈奴」(Xiongnu)と呼ばれた集団はソグド語ではXwn、サンスクリット語ではHuṇaと呼ばれており、これが西洋でフン族(ラテン語: Hunnni)と呼ばれるようになったというのである。またヨーロッパのフン族と匈奴がどちらも金属製の大釜を使う習慣を持っていたことが指摘されている。しかし一方で、「フン」に関連付けられている諸集団では依然として考古学的知見や習俗面における相違点が類似点を上回るほど多岐にわたっている。さらに、匈奴が歴史上から姿を消してから、後にヨーロッパに進出するものと同じフン族が初めて中央アジアに現れるまでに約200年もの間が空いている。こうした反論の余地があるため、匈奴・フン同族説を否定する学者も多い。 なお、匈奴は48年に南北に分裂し、南匈奴は後漢に従った後魏晋南北朝時代まで命脈を保っている。フン族との関連が指摘されているのは北方に残り2世紀に中国史上から姿を消した北匈奴のみであるが、欧米文献では単に匈奴(Xiongnu)とされることが多い。そのため、本項でも特に断りがなくとも「匈奴」という名を北匈奴を指すものとして用いる。 (ja)
  • フン族の起源(フンぞくのきげん)では、4世紀から6世紀にかけて中央アジアからヨーロッパにかけて広く影響力を及ぼしたフン族の起源と、関連が指摘されている諸集団に関する議論について述べる。古代より文献には「」と呼ばれる勢力(、、、エフタル、など)が言及されており、これらとフン族の関係については長きにわたり歴史学上の論争が続いている。特に有名なフン族の起源論として、中国史上の匈奴と同一視する説がある。これは1757年にジョゼフ・ド・ギーニュが提唱し、エドワード・ギボンが普及させたものである。それ以降、多くの歴史学者が言語学・歴史学・考古学などの観点からフン族と匈奴の関係性を見つけ出そうとしたが、20世紀半ばに中国学者のオットー・メンヒェン=ヘルフェンの批判を受け、この仮説は下火になった。近年になって、フン族と匈奴の間に新たに部分的な関係を見出す研究が発表されている。このため匈奴・フン同族説は一仮説として再び歴史学の主流へと戻ってきたが、未だに議論が続いている。 匈奴や中央アジアの諸族とフン族を結びつける最大の証拠と考えられているのが、それぞれの集団名の類似性である。すなわち「匈奴」(Xiongnu)と呼ばれた集団はソグド語ではXwn、サンスクリット語ではHuṇaと呼ばれており、これが西洋でフン族(ラテン語: Hunnni)と呼ばれるようになったというのである。またヨーロッパのフン族と匈奴がどちらも金属製の大釜を使う習慣を持っていたことが指摘されている。しかし一方で、「フン」に関連付けられている諸集団では依然として考古学的知見や習俗面における相違点が類似点を上回るほど多岐にわたっている。さらに、匈奴が歴史上から姿を消してから、後にヨーロッパに進出するものと同じフン族が初めて中央アジアに現れるまでに約200年もの間が空いている。こうした反論の余地があるため、匈奴・フン同族説を否定する学者も多い。 なお、匈奴は48年に南北に分裂し、南匈奴は後漢に従った後魏晋南北朝時代まで命脈を保っている。フン族との関連が指摘されているのは北方に残り2世紀に中国史上から姿を消した北匈奴のみであるが、欧米文献では単に匈奴(Xiongnu)とされることが多い。そのため、本項でも特に断りがなくとも「匈奴」という名を北匈奴を指すものとして用いる。 (ja)
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  • フン族の起源(フンぞくのきげん)では、4世紀から6世紀にかけて中央アジアからヨーロッパにかけて広く影響力を及ぼしたフン族の起源と、関連が指摘されている諸集団に関する議論について述べる。古代より文献には「」と呼ばれる勢力(、、、エフタル、など)が言及されており、これらとフン族の関係については長きにわたり歴史学上の論争が続いている。特に有名なフン族の起源論として、中国史上の匈奴と同一視する説がある。これは1757年にジョゼフ・ド・ギーニュが提唱し、エドワード・ギボンが普及させたものである。それ以降、多くの歴史学者が言語学・歴史学・考古学などの観点からフン族と匈奴の関係性を見つけ出そうとしたが、20世紀半ばに中国学者のオットー・メンヒェン=ヘルフェンの批判を受け、この仮説は下火になった。近年になって、フン族と匈奴の間に新たに部分的な関係を見出す研究が発表されている。このため匈奴・フン同族説は一仮説として再び歴史学の主流へと戻ってきたが、未だに議論が続いている。 なお、匈奴は48年に南北に分裂し、南匈奴は後漢に従った後魏晋南北朝時代まで命脈を保っている。フン族との関連が指摘されているのは北方に残り2世紀に中国史上から姿を消した北匈奴のみであるが、欧米文献では単に匈奴(Xiongnu)とされることが多い。そのため、本項でも特に断りがなくとも「匈奴」という名を北匈奴を指すものとして用いる。 (ja)
  • フン族の起源(フンぞくのきげん)では、4世紀から6世紀にかけて中央アジアからヨーロッパにかけて広く影響力を及ぼしたフン族の起源と、関連が指摘されている諸集団に関する議論について述べる。古代より文献には「」と呼ばれる勢力(、、、エフタル、など)が言及されており、これらとフン族の関係については長きにわたり歴史学上の論争が続いている。特に有名なフン族の起源論として、中国史上の匈奴と同一視する説がある。これは1757年にジョゼフ・ド・ギーニュが提唱し、エドワード・ギボンが普及させたものである。それ以降、多くの歴史学者が言語学・歴史学・考古学などの観点からフン族と匈奴の関係性を見つけ出そうとしたが、20世紀半ばに中国学者のオットー・メンヒェン=ヘルフェンの批判を受け、この仮説は下火になった。近年になって、フン族と匈奴の間に新たに部分的な関係を見出す研究が発表されている。このため匈奴・フン同族説は一仮説として再び歴史学の主流へと戻ってきたが、未だに議論が続いている。 なお、匈奴は48年に南北に分裂し、南匈奴は後漢に従った後魏晋南北朝時代まで命脈を保っている。フン族との関連が指摘されているのは北方に残り2世紀に中国史上から姿を消した北匈奴のみであるが、欧米文献では単に匈奴(Xiongnu)とされることが多い。そのため、本項でも特に断りがなくとも「匈奴」という名を北匈奴を指すものとして用いる。 (ja)
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  • フン族の起源 (ja)
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