WAR(Wins Above Replacement)とは、セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標である。 WARは、Wins Above Replacementという正式名称が示す通り、「そのポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を統計的に推計した指標である。代替可能選手とは、「平均以下(below average)の実力で、容易に獲得できる(easily obtainable)選手」、すなわち3Aから昇格させたり、ウェーバー経由や後日指名選手(PTBNL)で獲得できる控えレベルの選手を指す。トム・タンゴは「FA市場において最低年俸水準で獲得できる選手、またはトレードにおいて最小限の損失で獲得できる選手」と定義している。代替可能レベルの選手でチームを構成した場合には162試合のシーズンで勝率.320、52勝が期待出来る。代替可能レベルの設定はシンクタンクにより異なっていたが、2013年現在、FanGraphs[1] と[2] は勝率.294で統一している。平均的なレギュラー野手、先発投手のWARは2.0とされている。一方、平均的なリリーフ投手のWARは0.3とされている。仮にWARが0ならば、その選手は「代替可能」なレベルということになる。FanGraphsによると、2018年のMLBでは、ムーキー・ベッツが10.4で全体1位、クリス・デービスが-3.1で最下位だった。

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  • WAR(Wins Above Replacement)とは、セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標である。 WARは、Wins Above Replacementという正式名称が示す通り、「そのポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を統計的に推計した指標である。代替可能選手とは、「平均以下(below average)の実力で、容易に獲得できる(easily obtainable)選手」、すなわち3Aから昇格させたり、ウェーバー経由や後日指名選手(PTBNL)で獲得できる控えレベルの選手を指す。トム・タンゴは「FA市場において最低年俸水準で獲得できる選手、またはトレードにおいて最小限の損失で獲得できる選手」と定義している。代替可能レベルの選手でチームを構成した場合には162試合のシーズンで勝率.320、52勝が期待出来る。代替可能レベルの設定はシンクタンクにより異なっていたが、2013年現在、FanGraphs[1] と[2] は勝率.294で統一している。平均的なレギュラー野手、先発投手のWARは2.0とされている。一方、平均的なリリーフ投手のWARは0.3とされている。仮にWARが0ならば、その選手は「代替可能」なレベルということになる。FanGraphsによると、2018年のMLBでは、ムーキー・ベッツが10.4で全体1位、クリス・デービスが-3.1で最下位だった。 WARは上積みした勝利数を意味しているが、具体的には打撃指標、走塁指標、守備指標、投球指標などを用いて総合的にこれを推計しなければならない。具体的な細かい算出方法は定義されておらず、各部門の指標に何を用いるか(例えば守備指標をDRSで評価するかUZRで評価するか等)は、算出者に任せられている。そのため、算出方法が複数存在し、それによって値も異なってくる。現在、MLBでは、前述のFanGraphsの他に、「Baseball Reference」、「Baseball Prospectus」[3] が独自のWARを算出している。特に「FanGraphs」版と「Baseball Reference」版が有名で、区別するために前者をfWAR、後者をbWAR或いはrWARと表記することもある。大手スポーツ専門局であるESPNは「Baseball Reference」版(rWAR)を公式記録として採用している。NPBでは、DELTAとデータスタジアムのWARが著名である。 2012年にミゲル・カブレラが三冠王を達成したが、WARでは守備走塁面でも評価の高い新人のマイク・トラウトが上回ったために(fWARではトラウトが10.0でカブレラ6.8、rWARではトラウトが10.4でカブレラが7.3)アメリカンリーグのMVPにどちらがふさわしいかで論争が発生した。結局MVPにはカブレラが選ばれた。 (ja)
  • WAR(Wins Above Replacement)とは、セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標である。 WARは、Wins Above Replacementという正式名称が示す通り、「そのポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を統計的に推計した指標である。代替可能選手とは、「平均以下(below average)の実力で、容易に獲得できる(easily obtainable)選手」、すなわち3Aから昇格させたり、ウェーバー経由や後日指名選手(PTBNL)で獲得できる控えレベルの選手を指す。トム・タンゴは「FA市場において最低年俸水準で獲得できる選手、またはトレードにおいて最小限の損失で獲得できる選手」と定義している。代替可能レベルの選手でチームを構成した場合には162試合のシーズンで勝率.320、52勝が期待出来る。代替可能レベルの設定はシンクタンクにより異なっていたが、2013年現在、FanGraphs[1] と[2] は勝率.294で統一している。平均的なレギュラー野手、先発投手のWARは2.0とされている。一方、平均的なリリーフ投手のWARは0.3とされている。仮にWARが0ならば、その選手は「代替可能」なレベルということになる。FanGraphsによると、2018年のMLBでは、ムーキー・ベッツが10.4で全体1位、クリス・デービスが-3.1で最下位だった。 WARは上積みした勝利数を意味しているが、具体的には打撃指標、走塁指標、守備指標、投球指標などを用いて総合的にこれを推計しなければならない。具体的な細かい算出方法は定義されておらず、各部門の指標に何を用いるか(例えば守備指標をDRSで評価するかUZRで評価するか等)は、算出者に任せられている。そのため、算出方法が複数存在し、それによって値も異なってくる。現在、MLBでは、前述のFanGraphsの他に、「Baseball Reference」、「Baseball Prospectus」[3] が独自のWARを算出している。特に「FanGraphs」版と「Baseball Reference」版が有名で、区別するために前者をfWAR、後者をbWAR或いはrWARと表記することもある。大手スポーツ専門局であるESPNは「Baseball Reference」版(rWAR)を公式記録として採用している。NPBでは、DELTAとデータスタジアムのWARが著名である。 2012年にミゲル・カブレラが三冠王を達成したが、WARでは守備走塁面でも評価の高い新人のマイク・トラウトが上回ったために(fWARではトラウトが10.0でカブレラ6.8、rWARではトラウトが10.4でカブレラが7.3)アメリカンリーグのMVPにどちらがふさわしいかで論争が発生した。結局MVPにはカブレラが選ばれた。 (ja)
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  • WAR(Wins Above Replacement)とは、セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標である。 WARは、Wins Above Replacementという正式名称が示す通り、「そのポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を統計的に推計した指標である。代替可能選手とは、「平均以下(below average)の実力で、容易に獲得できる(easily obtainable)選手」、すなわち3Aから昇格させたり、ウェーバー経由や後日指名選手(PTBNL)で獲得できる控えレベルの選手を指す。トム・タンゴは「FA市場において最低年俸水準で獲得できる選手、またはトレードにおいて最小限の損失で獲得できる選手」と定義している。代替可能レベルの選手でチームを構成した場合には162試合のシーズンで勝率.320、52勝が期待出来る。代替可能レベルの設定はシンクタンクにより異なっていたが、2013年現在、FanGraphs[1] と[2] は勝率.294で統一している。平均的なレギュラー野手、先発投手のWARは2.0とされている。一方、平均的なリリーフ投手のWARは0.3とされている。仮にWARが0ならば、その選手は「代替可能」なレベルということになる。FanGraphsによると、2018年のMLBでは、ムーキー・ベッツが10.4で全体1位、クリス・デービスが-3.1で最下位だった。 (ja)
  • WAR(Wins Above Replacement)とは、セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標である。 WARは、Wins Above Replacementという正式名称が示す通り、「そのポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を統計的に推計した指標である。代替可能選手とは、「平均以下(below average)の実力で、容易に獲得できる(easily obtainable)選手」、すなわち3Aから昇格させたり、ウェーバー経由や後日指名選手(PTBNL)で獲得できる控えレベルの選手を指す。トム・タンゴは「FA市場において最低年俸水準で獲得できる選手、またはトレードにおいて最小限の損失で獲得できる選手」と定義している。代替可能レベルの選手でチームを構成した場合には162試合のシーズンで勝率.320、52勝が期待出来る。代替可能レベルの設定はシンクタンクにより異なっていたが、2013年現在、FanGraphs[1] と[2] は勝率.294で統一している。平均的なレギュラー野手、先発投手のWARは2.0とされている。一方、平均的なリリーフ投手のWARは0.3とされている。仮にWARが0ならば、その選手は「代替可能」なレベルということになる。FanGraphsによると、2018年のMLBでは、ムーキー・ベッツが10.4で全体1位、クリス・デービスが-3.1で最下位だった。 (ja)
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  • WAR (野球) (ja)
  • WAR (野球) (ja)
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