巨大基数(きょだいきすう、英: large cardinal)とは、数学の集合論におけるが有するある種の性質。この性質を持つ基数は、その名の通り、一般に大変「大きい」(例えば、α=ωαを満たすような最小の基数αよりも大きい)。そのような基数が存在するという命題は、集合論における最も標準的な公理系である ZFC からは証明できない。このことから、そのような命題は、何らかの望ましい結果を証明できるようになる上で ZFC を超えてどのぐらいの「量」の仮定を加えなければならないのかを測るある種の尺度になっている。別の言い方をすれば、デイナ・スコットが述べたように、巨大基数的性質は「より多くを求めるなら、より多くを仮定しなければならない」という事実を定量的に表現しているとみなせる。 大まかな約束事として、ZFCだけから結果を証明できる場合は特段の断り書きは要らないが、もしその他の主張(例えば巨大基数の存在など)が証明上必要なら、そのことは明記されねばならない。これが単なる慣習的な決まり事なのか、それとも何か本質的な意味があるのかは、諸学派の間で議論の的となっている(後述のを参照)。 巨大基数公理とは、巨大基数的性質を持った何かしらの基数が一つ(または多数)存在すると述べる公理である。

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  • 巨大基数(きょだいきすう、英: large cardinal)とは、数学の集合論におけるが有するある種の性質。この性質を持つ基数は、その名の通り、一般に大変「大きい」(例えば、α=ωαを満たすような最小の基数αよりも大きい)。そのような基数が存在するという命題は、集合論における最も標準的な公理系である ZFC からは証明できない。このことから、そのような命題は、何らかの望ましい結果を証明できるようになる上で ZFC を超えてどのぐらいの「量」の仮定を加えなければならないのかを測るある種の尺度になっている。別の言い方をすれば、デイナ・スコットが述べたように、巨大基数的性質は「より多くを求めるなら、より多くを仮定しなければならない」という事実を定量的に表現しているとみなせる。 大まかな約束事として、ZFCだけから結果を証明できる場合は特段の断り書きは要らないが、もしその他の主張(例えば巨大基数の存在など)が証明上必要なら、そのことは明記されねばならない。これが単なる慣習的な決まり事なのか、それとも何か本質的な意味があるのかは、諸学派の間で議論の的となっている(後述のを参照)。 巨大基数公理とは、巨大基数的性質を持った何かしらの基数が一つ(または多数)存在すると述べる公理である。 集合論学者の間では、既知の巨大基数公理はZFCと無矛盾だと概ね信じられている。これらの巨大基数公理を仮定するとZFCの無矛盾性を証明できる。このため、ゲーデルの第二不完全性定理により、(ZFCが無矛盾だとして)「ZFC+巨大基数公理」の無矛盾性をZFCの中で証明することはできない。 巨大基数的性質とは何かということに関しては、一般に合意された正確な定義というものは存在しないが、巨大基数的性質の一覧に載っているものが巨大基数であることは本質的に誰もが同意している。 (ja)
  • 巨大基数(きょだいきすう、英: large cardinal)とは、数学の集合論におけるが有するある種の性質。この性質を持つ基数は、その名の通り、一般に大変「大きい」(例えば、α=ωαを満たすような最小の基数αよりも大きい)。そのような基数が存在するという命題は、集合論における最も標準的な公理系である ZFC からは証明できない。このことから、そのような命題は、何らかの望ましい結果を証明できるようになる上で ZFC を超えてどのぐらいの「量」の仮定を加えなければならないのかを測るある種の尺度になっている。別の言い方をすれば、デイナ・スコットが述べたように、巨大基数的性質は「より多くを求めるなら、より多くを仮定しなければならない」という事実を定量的に表現しているとみなせる。 大まかな約束事として、ZFCだけから結果を証明できる場合は特段の断り書きは要らないが、もしその他の主張(例えば巨大基数の存在など)が証明上必要なら、そのことは明記されねばならない。これが単なる慣習的な決まり事なのか、それとも何か本質的な意味があるのかは、諸学派の間で議論の的となっている(後述のを参照)。 巨大基数公理とは、巨大基数的性質を持った何かしらの基数が一つ(または多数)存在すると述べる公理である。 集合論学者の間では、既知の巨大基数公理はZFCと無矛盾だと概ね信じられている。これらの巨大基数公理を仮定するとZFCの無矛盾性を証明できる。このため、ゲーデルの第二不完全性定理により、(ZFCが無矛盾だとして)「ZFC+巨大基数公理」の無矛盾性をZFCの中で証明することはできない。 巨大基数的性質とは何かということに関しては、一般に合意された正確な定義というものは存在しないが、巨大基数的性質の一覧に載っているものが巨大基数であることは本質的に誰もが同意している。 (ja)
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  • 巨大基数(きょだいきすう、英: large cardinal)とは、数学の集合論におけるが有するある種の性質。この性質を持つ基数は、その名の通り、一般に大変「大きい」(例えば、α=ωαを満たすような最小の基数αよりも大きい)。そのような基数が存在するという命題は、集合論における最も標準的な公理系である ZFC からは証明できない。このことから、そのような命題は、何らかの望ましい結果を証明できるようになる上で ZFC を超えてどのぐらいの「量」の仮定を加えなければならないのかを測るある種の尺度になっている。別の言い方をすれば、デイナ・スコットが述べたように、巨大基数的性質は「より多くを求めるなら、より多くを仮定しなければならない」という事実を定量的に表現しているとみなせる。 大まかな約束事として、ZFCだけから結果を証明できる場合は特段の断り書きは要らないが、もしその他の主張(例えば巨大基数の存在など)が証明上必要なら、そのことは明記されねばならない。これが単なる慣習的な決まり事なのか、それとも何か本質的な意味があるのかは、諸学派の間で議論の的となっている(後述のを参照)。 巨大基数公理とは、巨大基数的性質を持った何かしらの基数が一つ(または多数)存在すると述べる公理である。 (ja)
  • 巨大基数(きょだいきすう、英: large cardinal)とは、数学の集合論におけるが有するある種の性質。この性質を持つ基数は、その名の通り、一般に大変「大きい」(例えば、α=ωαを満たすような最小の基数αよりも大きい)。そのような基数が存在するという命題は、集合論における最も標準的な公理系である ZFC からは証明できない。このことから、そのような命題は、何らかの望ましい結果を証明できるようになる上で ZFC を超えてどのぐらいの「量」の仮定を加えなければならないのかを測るある種の尺度になっている。別の言い方をすれば、デイナ・スコットが述べたように、巨大基数的性質は「より多くを求めるなら、より多くを仮定しなければならない」という事実を定量的に表現しているとみなせる。 大まかな約束事として、ZFCだけから結果を証明できる場合は特段の断り書きは要らないが、もしその他の主張(例えば巨大基数の存在など)が証明上必要なら、そのことは明記されねばならない。これが単なる慣習的な決まり事なのか、それとも何か本質的な意味があるのかは、諸学派の間で議論の的となっている(後述のを参照)。 巨大基数公理とは、巨大基数的性質を持った何かしらの基数が一つ(または多数)存在すると述べる公理である。 (ja)
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  • 巨大基数 (ja)
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