報国丸級貨客船とは、かつて大阪商船が運航した貨客船のクラスの一つで、優秀船舶建造助成施設の適用を受けて1938年(昭和13年)から太平洋戦争開戦をまたいで1942年(昭和17年)にかけて玉造船所/三井造船で3隻が建造された。 同じ大阪商船のあるぜんちな丸級貨客船、日本郵船の新田丸級貨客船とともに優秀船舶建造助成施設で建造された貨客船のクラスであり、南アフリカ航路に就航したが、第二次世界大戦による戦乱が世界を覆い尽くしつつある時期ゆえに予定通りの活躍はできなかった。日本海軍の後ろ盾により、有事の際には特設艦船として改装できるように配慮されていた貨客船のクラスの一つでもある。また、竣工時期がわずかな平和が残っていた時期、開戦間近の時期および開戦後と3つに分かれたことにより、形態もまた三種三様に分かれた。太平洋戦争では3隻すべてが特設巡洋艦および特設運送船として運用され、すべて戦没した。 本項では主に、建造の背景や技術的な面などについて説明する。個々の船についてはごく簡単に説明するにとどめ、詳細は当該項目を参照されたい。