数学において二つの集合 A, B の濃度が等しいとは、それらの間の一対一対応(全単射)が存在すること、すなわち A から B への写像 f: A → B が存在して B の各元 y に対してちょうど一つづつの x ∈ A が f(x) = yを満たすときに言う。濃度が等しいことは、それら集合に属する元の数が同じであることと解釈することができる。このように集合の濃度が等しいとき、それら集合は同数 (equi­numerous), 対等もしくは同等 (equi­pollent) あるいは等濃 (equi­potent, equicardinality) であるなどと言う。 「濃度が等しい」という関係は同値関係の三つの公理(反射律・対称律・推移律)を満足する。記号では二つの集合 A, B が等濃であることを などで表す。 1891年以降現れたカントールの定理によれば、任意の集合は自身の冪集合(部分集合全体の成す集合)に等濃となることはない。ゆえに一つ無限集合が与えられれば、それを手掛かりにより大きな無限濃度を持つ集合を次々に作り出すことができる。 任意の二つの集合の濃度が比較可能(互いに等濃であるかさもなくば一方が他方よりも濃度が小さい)であるという条件は、選択公理と同値である。

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  • 数学において二つの集合 A, B の濃度が等しいとは、それらの間の一対一対応(全単射)が存在すること、すなわち A から B への写像 f: A → B が存在して B の各元 y に対してちょうど一つづつの x ∈ A が f(x) = yを満たすときに言う。濃度が等しいことは、それら集合に属する元の数が同じであることと解釈することができる。このように集合の濃度が等しいとき、それら集合は同数 (equi­numerous), 対等もしくは同等 (equi­pollent) あるいは等濃 (equi­potent, equicardinality) であるなどと言う。 「濃度が等しい」という関係は同値関係の三つの公理(反射律・対称律・推移律)を満足する。記号では二つの集合 A, B が等濃であることを などで表す。 全単射を用いたこの等濃性の定義は、有限集合にも無限集合にも適用できるから、これにより無限集合の場合であっても「同じ数」かどうかを議論することができることになる。集合論の祖ゲオルク・カントールは1874年に、無限が一種類ではないこと、特に自然数全体の集合と実数全体の集合は(ともに無限でありながらも)濃度が異なることを示した(も参照)。物議を醸した1878年の論文で、カントールは集合の「濃度」("power") の概念を明示的に定義して、それを用いて自然数全体の成す集合と有理数全体の成す集合が等濃であること(これは無限集合の真部分集合がもとの集合と等濃になるという状況の一つの例を与えている)や、実数全体の成す集合のいくつか(可算無限個でもよい)のコピーの直積集合が実数全体の成す集合ひとつと等濃であることなどを示した。 1891年以降現れたカントールの定理によれば、任意の集合は自身の冪集合(部分集合全体の成す集合)に等濃となることはない。ゆえに一つ無限集合が与えられれば、それを手掛かりにより大きな無限濃度を持つ集合を次々に作り出すことができる。 選択公理が成り立つならば、各集合の基数 (cardinal number) はその集合と同じ濃度を持つ最小の順序数として定義することができる(始数の項を参照)。選択公理がない場合でも、により同じ濃度を持つ最小ランク (minimal ordinal rank) の集合全体の成す集合と見なせる。 任意の二つの集合の濃度が比較可能(互いに等濃であるかさもなくば一方が他方よりも濃度が小さい)であるという条件は、選択公理と同値である。 (ja)
  • 数学において二つの集合 A, B の濃度が等しいとは、それらの間の一対一対応(全単射)が存在すること、すなわち A から B への写像 f: A → B が存在して B の各元 y に対してちょうど一つづつの x ∈ A が f(x) = yを満たすときに言う。濃度が等しいことは、それら集合に属する元の数が同じであることと解釈することができる。このように集合の濃度が等しいとき、それら集合は同数 (equi­numerous), 対等もしくは同等 (equi­pollent) あるいは等濃 (equi­potent, equicardinality) であるなどと言う。 「濃度が等しい」という関係は同値関係の三つの公理(反射律・対称律・推移律)を満足する。記号では二つの集合 A, B が等濃であることを などで表す。 全単射を用いたこの等濃性の定義は、有限集合にも無限集合にも適用できるから、これにより無限集合の場合であっても「同じ数」かどうかを議論することができることになる。集合論の祖ゲオルク・カントールは1874年に、無限が一種類ではないこと、特に自然数全体の集合と実数全体の集合は(ともに無限でありながらも)濃度が異なることを示した(も参照)。物議を醸した1878年の論文で、カントールは集合の「濃度」("power") の概念を明示的に定義して、それを用いて自然数全体の成す集合と有理数全体の成す集合が等濃であること(これは無限集合の真部分集合がもとの集合と等濃になるという状況の一つの例を与えている)や、実数全体の成す集合のいくつか(可算無限個でもよい)のコピーの直積集合が実数全体の成す集合ひとつと等濃であることなどを示した。 1891年以降現れたカントールの定理によれば、任意の集合は自身の冪集合(部分集合全体の成す集合)に等濃となることはない。ゆえに一つ無限集合が与えられれば、それを手掛かりにより大きな無限濃度を持つ集合を次々に作り出すことができる。 選択公理が成り立つならば、各集合の基数 (cardinal number) はその集合と同じ濃度を持つ最小の順序数として定義することができる(始数の項を参照)。選択公理がない場合でも、により同じ濃度を持つ最小ランク (minimal ordinal rank) の集合全体の成す集合と見なせる。 任意の二つの集合の濃度が比較可能(互いに等濃であるかさもなくば一方が他方よりも濃度が小さい)であるという条件は、選択公理と同値である。 (ja)
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  • 数学において二つの集合 A, B の濃度が等しいとは、それらの間の一対一対応(全単射)が存在すること、すなわち A から B への写像 f: A → B が存在して B の各元 y に対してちょうど一つづつの x ∈ A が f(x) = yを満たすときに言う。濃度が等しいことは、それら集合に属する元の数が同じであることと解釈することができる。このように集合の濃度が等しいとき、それら集合は同数 (equi­numerous), 対等もしくは同等 (equi­pollent) あるいは等濃 (equi­potent, equicardinality) であるなどと言う。 「濃度が等しい」という関係は同値関係の三つの公理(反射律・対称律・推移律)を満足する。記号では二つの集合 A, B が等濃であることを などで表す。 1891年以降現れたカントールの定理によれば、任意の集合は自身の冪集合(部分集合全体の成す集合)に等濃となることはない。ゆえに一つ無限集合が与えられれば、それを手掛かりにより大きな無限濃度を持つ集合を次々に作り出すことができる。 任意の二つの集合の濃度が比較可能(互いに等濃であるかさもなくば一方が他方よりも濃度が小さい)であるという条件は、選択公理と同値である。 (ja)
  • 数学において二つの集合 A, B の濃度が等しいとは、それらの間の一対一対応(全単射)が存在すること、すなわち A から B への写像 f: A → B が存在して B の各元 y に対してちょうど一つづつの x ∈ A が f(x) = yを満たすときに言う。濃度が等しいことは、それら集合に属する元の数が同じであることと解釈することができる。このように集合の濃度が等しいとき、それら集合は同数 (equi­numerous), 対等もしくは同等 (equi­pollent) あるいは等濃 (equi­potent, equicardinality) であるなどと言う。 「濃度が等しい」という関係は同値関係の三つの公理(反射律・対称律・推移律)を満足する。記号では二つの集合 A, B が等濃であることを などで表す。 1891年以降現れたカントールの定理によれば、任意の集合は自身の冪集合(部分集合全体の成す集合)に等濃となることはない。ゆえに一つ無限集合が与えられれば、それを手掛かりにより大きな無限濃度を持つ集合を次々に作り出すことができる。 任意の二つの集合の濃度が比較可能(互いに等濃であるかさもなくば一方が他方よりも濃度が小さい)であるという条件は、選択公理と同値である。 (ja)
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  • 等濃 (ja)
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