「焔」(ほのお)は上村松園による絵画である。『源氏物語』の「葵」をもとにした能楽『葵上』に登場する六条御息所にヒントを得て、嫉妬の炎ゆえに生霊となった女性を描いた作品である。1918年に描かれ、文部省美術展覧会(文展)に出展され、その後東京国立博物館に所蔵された。清純な美人画を得意とした松園の絵の中で、本人にとって「たった一枚の凄艶な絵」と自認する作品であり、情念に満ちた女の姿を描いた本作は「異色の代表作」と称されている。