『月世界旅行』(げつせかいりょこう)として本項で便宜上まとめて解説するのは、フランスの作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表した長編小説の2部作: 1. * 1865年のDe la Terre à la Lune(直訳は『地球から月へ』。以下、そう称する) 2. * 1870年のAutour de la lune(直訳は『月を周って』。以下『月世界へ行く』と称する)である。 南北戦争終結後のアメリカ合衆国で、火器の専門家集団「大砲クラブ」が巨大な大砲を製造し、人間の入った砲弾を月に撃ち込もうとする物語である。前編『地球から月へ』では計画の立案、資金の調達、大砲の鋳造、そして砲弾の発射までが描かれ、後編『月世界へ行く』では、発射後に砲弾に入った3人の男の体験が主になっており、いずれも三人称で書かれている。原書の挿絵は前編がアンリ・ド・モントー、後編がアルフォンス・ド・ヌヴィルとエミール・バヤールが担当した。 これらの作品の続編に『地軸変更計画』(1889年)があり、併せて「大砲クラブもの」と呼ばれる。

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  • 『月世界旅行』(げつせかいりょこう)として本項で便宜上まとめて解説するのは、フランスの作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表した長編小説の2部作: 1. * 1865年のDe la Terre à la Lune(直訳は『地球から月へ』。以下、そう称する) 2. * 1870年のAutour de la lune(直訳は『月を周って』。以下『月世界へ行く』と称する)である。 南北戦争終結後のアメリカ合衆国で、火器の専門家集団「大砲クラブ」が巨大な大砲を製造し、人間の入った砲弾を月に撃ち込もうとする物語である。前編『地球から月へ』では計画の立案、資金の調達、大砲の鋳造、そして砲弾の発射までが描かれ、後編『月世界へ行く』では、発射後に砲弾に入った3人の男の体験が主になっており、いずれも三人称で書かれている。原書の挿絵は前編がアンリ・ド・モントー、後編がアルフォンス・ド・ヌヴィルとエミール・バヤールが担当した。 大砲で宇宙船を打ち上げるという発想は目新しい発想ではなく、ヴェルヌ自身が知っていたかどうかは不明だが、当時、既にロケットは元寇や南北戦争等、世界各地の戦争で使用されており、これを利用する宇宙旅行の物語もシラノ・ド・ベルジュラックが先んじていた。さらに、ロケットよりも技術的には後退した大砲で宇宙船を打ち上げる物語が1865年に刊行された『地球から月へ』よりも137年前の1728年にムルタ・マクダーモットによって『A Trip to the Moon』が刊行されていた。 これらの作品の続編に『地軸変更計画』(1889年)があり、併せて「大砲クラブもの」と呼ばれる。 (ja)
  • 『月世界旅行』(げつせかいりょこう)として本項で便宜上まとめて解説するのは、フランスの作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表した長編小説の2部作: 1. * 1865年のDe la Terre à la Lune(直訳は『地球から月へ』。以下、そう称する) 2. * 1870年のAutour de la lune(直訳は『月を周って』。以下『月世界へ行く』と称する)である。 南北戦争終結後のアメリカ合衆国で、火器の専門家集団「大砲クラブ」が巨大な大砲を製造し、人間の入った砲弾を月に撃ち込もうとする物語である。前編『地球から月へ』では計画の立案、資金の調達、大砲の鋳造、そして砲弾の発射までが描かれ、後編『月世界へ行く』では、発射後に砲弾に入った3人の男の体験が主になっており、いずれも三人称で書かれている。原書の挿絵は前編がアンリ・ド・モントー、後編がアルフォンス・ド・ヌヴィルとエミール・バヤールが担当した。 大砲で宇宙船を打ち上げるという発想は目新しい発想ではなく、ヴェルヌ自身が知っていたかどうかは不明だが、当時、既にロケットは元寇や南北戦争等、世界各地の戦争で使用されており、これを利用する宇宙旅行の物語もシラノ・ド・ベルジュラックが先んじていた。さらに、ロケットよりも技術的には後退した大砲で宇宙船を打ち上げる物語が1865年に刊行された『地球から月へ』よりも137年前の1728年にムルタ・マクダーモットによって『A Trip to the Moon』が刊行されていた。 これらの作品の続編に『地軸変更計画』(1889年)があり、併せて「大砲クラブもの」と呼ばれる。 (ja)
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  • 『月世界旅行』(げつせかいりょこう)として本項で便宜上まとめて解説するのは、フランスの作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表した長編小説の2部作: 1. * 1865年のDe la Terre à la Lune(直訳は『地球から月へ』。以下、そう称する) 2. * 1870年のAutour de la lune(直訳は『月を周って』。以下『月世界へ行く』と称する)である。 南北戦争終結後のアメリカ合衆国で、火器の専門家集団「大砲クラブ」が巨大な大砲を製造し、人間の入った砲弾を月に撃ち込もうとする物語である。前編『地球から月へ』では計画の立案、資金の調達、大砲の鋳造、そして砲弾の発射までが描かれ、後編『月世界へ行く』では、発射後に砲弾に入った3人の男の体験が主になっており、いずれも三人称で書かれている。原書の挿絵は前編がアンリ・ド・モントー、後編がアルフォンス・ド・ヌヴィルとエミール・バヤールが担当した。 これらの作品の続編に『地軸変更計画』(1889年)があり、併せて「大砲クラブもの」と呼ばれる。 (ja)
  • 『月世界旅行』(げつせかいりょこう)として本項で便宜上まとめて解説するのは、フランスの作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表した長編小説の2部作: 1. * 1865年のDe la Terre à la Lune(直訳は『地球から月へ』。以下、そう称する) 2. * 1870年のAutour de la lune(直訳は『月を周って』。以下『月世界へ行く』と称する)である。 南北戦争終結後のアメリカ合衆国で、火器の専門家集団「大砲クラブ」が巨大な大砲を製造し、人間の入った砲弾を月に撃ち込もうとする物語である。前編『地球から月へ』では計画の立案、資金の調達、大砲の鋳造、そして砲弾の発射までが描かれ、後編『月世界へ行く』では、発射後に砲弾に入った3人の男の体験が主になっており、いずれも三人称で書かれている。原書の挿絵は前編がアンリ・ド・モントー、後編がアルフォンス・ド・ヌヴィルとエミール・バヤールが担当した。 これらの作品の続編に『地軸変更計画』(1889年)があり、併せて「大砲クラブもの」と呼ばれる。 (ja)
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