『太平洋序曲』(たいへいようじょきょく、Pacific Overtures)は、スティーヴン・ソンドハイム音楽、脚本のミュージカル。1853年の日本とその後の西洋化の難しさを日本の視点から、特に友人2人の出会いからの変遷を描いている。題名にある 『序曲』"Overtures" は音楽においては『初めに演奏される曲』の意味であるが、これは西洋主導の太平洋貿易の始まりは『平和的な交渉』(Pacific Overtures)とは程遠かったことへの皮肉がこめられている。日本風の五音階を用いて、日本的な沈思黙考("There is No Other Way")と西洋的な明け透けな率直さ("Please Hello")を音楽で対比させている。これらの音楽はソンドハイムの最も野心的で技巧に富んだ作品の一つと考えられてる。 1976年のハロルド・プリンス演出によるブロードウェイでのオリジナル公演では、男性が女性役を演じたり、観客に見える中で黒衣が舞台装置を変換したりと、歌舞伎風の形式で行われた。上演開始後、賛否分かれる批評を受け、6ヶ月で上演終了となった。にもかかわらず内容は高く評価され、トニー賞には10部門でノミネートされ、作品賞はコーラスラインやシカゴと争った。