『不毛地帯』(ふもうちたい)は、山崎豊子の小説。1973年から1978年まで『サンデー毎日』に連載された。単行本は新潮社から刊行されたが、1976年に前半(4分冊の場合は1 - 2巻、2分冊の場合は上巻にあたる部分)が、1978年には残りの後半部分合わせて全4巻で出版された。1983年11月から12月にかけて、同社から新潮文庫版が刊行された(のち、2009年3月には、5分冊に編成された)。『山崎豊子全集』(新潮社)では12〜15巻に収録している。 大本営の作戦立案参謀であった旧大日本帝国陸軍中佐が、シベリア抑留からの帰還後に総合商社に入社し、経済戦争を戦い抜いていく姿を描く。連載中に、ロッキード事件、ダグラス・グラマン事件があり、偶然似た題材を扱った本作が話題になったが、実在するどの事件の概要とも異なるフィクション作品である。 登場人物の設定に特定のモデルは存在せず、複数のモデルからの取材をもとにした作者の想像の産物である。当時の週刊誌や経済誌によって、主人公の壱岐正元帝国陸軍中佐は伊藤忠商事の元会長瀬島龍三がモデルと繰り返されたが、山崎は瀬島がモデルそのものではなく、複数人のイメージを重ね合わせたものと断っている。