タキサン (taxane) とは、イチイ属(Taxus)の植物から発見されたまたはその類縁構造を有するジテルペンの総称である。タキサン環またはその類縁構造を有するジテルペン類の誘導体はタキソイド (taxoid) と呼ばれる。タキサン類はもともと植物から見つかった天然化合物だが、医薬品の生産に有用ないくつかのタキサン類は合成されて利用されている。タキサン類は全合成法も知られているが(詳しくはタキソール全合成を参照)、全合成はコストが非常に高くつくため、工業的な生産はもっぱら細胞培養により増殖させたイチイの培養細胞の抽出物からの半合成によって行われている。タキサン類は植物体内ではゲラニルゲラニルピロリン酸から生合成される。