パクリタキセル(Paclitaxel、略称: TXL、PTX、PAC)は、がん化学療法において用いられるの一つである。タキサン系に属する。タイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia )の樹皮から単離され、「taxol(タキソール)」と命名された。後に、樹皮中の内生菌がパクリタキセルを合成していることが発見された。 ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)社によって商業的開発された際、一般名がPaclitaxel(パクリタキセル)へと変更され、BMS社の化合物はTaxol(タキソール)という商標で販売されている。パクリタキセルは水にほとんど溶けない為、この製剤では、ポリオキシエチレンヒマシ油とエタノールに溶解されている。パクリタキセルをアルブミンに結合させたより新しい製剤は「アブラキサン」の商標で販売されている。 パクリタキセルは肺がん、卵巣がん、乳がん、頭頸部がん、進行性カポジ肉腫患者の治療に用いられている。また再狭窄の予防にも用いられている。 パクリタキセルは微小管を安定化させることで微小管のダイナミクスを抑制し、その結果正常な細胞分裂の進行を妨げる。ドセタキセル(商品名タキソテール)と共に医薬品分類のタキサン類を構成する。フロリダ州立大学のロバート・ホルトンによって初めて全合成された。