『アルマゲスト』(英: Almagest)は、ローマ帝国時代にエジプト・アレクサンドリアの天文学者クラウディオス・プトレマイオスによって書かれた、天文学の専門書である。本書で展開された天動説と円運動に基づく天体の運行の理論は、1000年以上にわたって数理天文学の基礎として、中東およびヨーロッパで受け入れられた。本書は天体の運行の幾何学的なモデルを中心に、観測や天体の位置の計算、必要とされる数学や簡単な宇宙論まで、天文学を運用するのに必要な知識を広く網羅し、体系的に解説している。 『アルマゲスト』は現代の我々にとって、古代ギリシアの天文学史、数学史の重要な史料でもある。プトレマイオス以前のヒッパルコスやペルガのアポロニウスの天文学研究及び、三角法の萌芽である「弦の表」については、本書の言及が今のところ最も豊富な情報を与えてくれている。ただし、両者の間の多大な時間の経過から、その信頼性については、一定の留保がつけられている。