『鳩の頸飾り』(はとのくびかざり、(アラビア語: طوق الحمامة في الألفة والألاف‎)は、1022年に神学者・法学者・詩人のイブン・ハズム(994年 - 1064年)が著した恋愛書・詩集である。日本語では『鳩の首飾り』、『鳩の首輪』、『タウク・ル・ハマーマ』の表記もある。アル=アンダルスと呼ばれた中世のイベリア半島で執筆され、西方イスラーム世界の最も優れた恋愛論とも評価されている。 アラビア語文芸では、イスラーム以前の時代から恋愛についての作品が盛んだった。その伝統はイスラーム王朝によってイベリア半島にも伝わって発展をとげる。本書もその一つで、愛の特性や意味、始まりと終わり、良い面や悪い面、恋人たちについて多数のエピソードや自作の詩を交えながら論じられている。著者が異性に囲まれて暮らした中で身についた観察眼に加えて、出来事に対する分析と体系化、そして理想主義が融合した内容になっている。エピソードの舞台は、ヨーロッパ有数の大都市で「世界の宝飾」とも呼ばれたコルドバであり、洗練された宮廷生活の一端がうかがえる。

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  • 『鳩の頸飾り』(はとのくびかざり、(アラビア語: طوق الحمامة في الألفة والألاف‎)は、1022年に神学者・法学者・詩人のイブン・ハズム(994年 - 1064年)が著した恋愛書・詩集である。日本語では『鳩の首飾り』、『鳩の首輪』、『タウク・ル・ハマーマ』の表記もある。アル=アンダルスと呼ばれた中世のイベリア半島で執筆され、西方イスラーム世界の最も優れた恋愛論とも評価されている。 アラビア語文芸では、イスラーム以前の時代から恋愛についての作品が盛んだった。その伝統はイスラーム王朝によってイベリア半島にも伝わって発展をとげる。本書もその一つで、愛の特性や意味、始まりと終わり、良い面や悪い面、恋人たちについて多数のエピソードや自作の詩を交えながら論じられている。著者が異性に囲まれて暮らした中で身についた観察眼に加えて、出来事に対する分析と体系化、そして理想主義が融合した内容になっている。エピソードの舞台は、ヨーロッパ有数の大都市で「世界の宝飾」とも呼ばれたコルドバであり、洗練された宮廷生活の一端がうかがえる。 著者のイブン・ハズムは、神学や法学においてアンダルスのウマイヤ朝(以後「ウマイヤ朝」)を代表する学者の一人だった。しかし、ウマイヤ朝が滅んで乱世へと移り変わる中で、その思想は受け容れられなかった。ほとんどの著作が焼かれる中で、本書は1冊だけ写本が残り、オスマン帝国からヨーロッパに伝わった。写本がライデン大学で発見されると、各国の第一線のイスラーム研究者たちによって翻訳され、彼の著作の中で最も有名になった。 (ja)
  • 『鳩の頸飾り』(はとのくびかざり、(アラビア語: طوق الحمامة في الألفة والألاف‎)は、1022年に神学者・法学者・詩人のイブン・ハズム(994年 - 1064年)が著した恋愛書・詩集である。日本語では『鳩の首飾り』、『鳩の首輪』、『タウク・ル・ハマーマ』の表記もある。アル=アンダルスと呼ばれた中世のイベリア半島で執筆され、西方イスラーム世界の最も優れた恋愛論とも評価されている。 アラビア語文芸では、イスラーム以前の時代から恋愛についての作品が盛んだった。その伝統はイスラーム王朝によってイベリア半島にも伝わって発展をとげる。本書もその一つで、愛の特性や意味、始まりと終わり、良い面や悪い面、恋人たちについて多数のエピソードや自作の詩を交えながら論じられている。著者が異性に囲まれて暮らした中で身についた観察眼に加えて、出来事に対する分析と体系化、そして理想主義が融合した内容になっている。エピソードの舞台は、ヨーロッパ有数の大都市で「世界の宝飾」とも呼ばれたコルドバであり、洗練された宮廷生活の一端がうかがえる。 著者のイブン・ハズムは、神学や法学においてアンダルスのウマイヤ朝(以後「ウマイヤ朝」)を代表する学者の一人だった。しかし、ウマイヤ朝が滅んで乱世へと移り変わる中で、その思想は受け容れられなかった。ほとんどの著作が焼かれる中で、本書は1冊だけ写本が残り、オスマン帝国からヨーロッパに伝わった。写本がライデン大学で発見されると、各国の第一線のイスラーム研究者たちによって翻訳され、彼の著作の中で最も有名になった。 (ja)
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  • 『鳩の頸飾り』(はとのくびかざり、(アラビア語: طوق الحمامة في الألفة والألاف‎)は、1022年に神学者・法学者・詩人のイブン・ハズム(994年 - 1064年)が著した恋愛書・詩集である。日本語では『鳩の首飾り』、『鳩の首輪』、『タウク・ル・ハマーマ』の表記もある。アル=アンダルスと呼ばれた中世のイベリア半島で執筆され、西方イスラーム世界の最も優れた恋愛論とも評価されている。 アラビア語文芸では、イスラーム以前の時代から恋愛についての作品が盛んだった。その伝統はイスラーム王朝によってイベリア半島にも伝わって発展をとげる。本書もその一つで、愛の特性や意味、始まりと終わり、良い面や悪い面、恋人たちについて多数のエピソードや自作の詩を交えながら論じられている。著者が異性に囲まれて暮らした中で身についた観察眼に加えて、出来事に対する分析と体系化、そして理想主義が融合した内容になっている。エピソードの舞台は、ヨーロッパ有数の大都市で「世界の宝飾」とも呼ばれたコルドバであり、洗練された宮廷生活の一端がうかがえる。 (ja)
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