現生人類の拡散(げんせいじんるいのかくさん)では、ホモ・サピエンスが世界各地へ拡散した経緯について述べる。ホモ・サピエンスが誕生し、移動を始めたのはおおよそ30万年前であるといわれている。アフリカ単一起源説では、おおよそ7万年前から5万年前に東アフリカを発ったホモ・サピエンスが現世人類の祖であるとされており、現生人類がアフリカを出てアジア南沿岸経由で近オセアニア地域への移動を始めたのがおおよそ7万年から5万年前とされており、約4万年前までにヨーロッパ中に分散した。ただし、それ以前にもアフリカを出たホモ・サピエンスが存在する。イスラエルから19万4千年–17万7千年前のホモ・サピエンスの化石、ギリシャから約21万年前のホモ・サピエンスの化石が見つかっているが、いずれもそれ以前に定住していたネアンデルタール人との生存競争に敗れたと考えられている。 によって、われわれ現生人類のゲノムにネアンデルタール人の遺伝子が数パーセント混入しているとされる。 最終氷期極大期以降、はベーリング地峡を渡り、約2万年前に人類はアメリカ大陸に到達した。完新世に入ると、人類は北ユーラシア(1.2万年前)やグリーンランドやカナダの北極圏地域(4千年前)といった極圏にも定住し始めた。そして、ポリネシアにオーストロネシア人が人類として初めて到達したのは1千年紀のことである。