タイノ族 (タイノぞく、Taíno) は、キューバ、イスパニョーラ島(ハイチとドミニカ共和国)、プエルト・リコ、そしてジャマイカを含む大アンティル諸島とバハマ諸島に先住していたインディアン民族である。日本語表記ではタイノ人もあり、アラワク人やタイノ・アラワク人と表記される場合もある。 タイノ人についての文字による記録は、15世紀以降にイスパニョーラ島とプエルト・リコ島に滞在したヨーロッパ人の見聞をもとにしている。そのため研究はこの2島に関するものが中心となっている。タイノ人の起源は、南アメリカのアラワク族にあるとされる。タイノ人が使ったタイノ語は、南アメリカからカリブ海までの広範囲で使用されたアラワク語族に属する。このため南アメリカからアラワク族が航海してきたものと推測されている。 タイノ人という呼称は、1492年にスペイン人が到着した時点では存在せず、それぞれの島ごとに自称していた。たとえばプエルト・リコ島のタイノ人はボリンクエン、バハマ諸島のタイノ人は小さい島を意味するルカヨを自称していた。タイノという単語はタイノ語で「善」や「高貴」を意味しており、別の民族であるやカリブ族(アイランド・カリブ人)と区別する自称として使われていた。これがのちに学者によってタイノ人として総称されることになった。