アベノミクス・安倍ノミクス(英語・フランス語・ドイツ語: Abenomics、ロシア語: Абэномика(アベノミカ))は、当時自由民主党総裁・内閣総理大臣の安倍晋三が第2次安倍内閣において掲げた一連の経済政策の通称である。主唱者である「安倍」の姓と、経済学・経済理論の総称である「エコノミクス(英: economics)」とを合わせた造語。 2013年6月14日発表の「日本再興戦略」で全体像が明示されたアベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(規制緩和などによって資本市場や労働市場をより流動的にして、競争を活発にさせることで生産性を向上させる構造改革)の「三本の矢」を経済成長を目的とした政策運営の柱に掲げた。 アベノミクスに対する肯定的意見には、金融政策によって歴代政権の中で最も雇用を創出したことが挙げられる。失業率や有効求人倍率が著しい改善を見せたこと、2014年から2018年まで5年連続で名目賃金が上昇した ことに加え、雇用環境改善に伴う自殺者数の減少、現役世代を中心とした生活保護受給者の減少などが挙げられる。

Property Value
dbo:abstract
  • アベノミクス・安倍ノミクス(英語・フランス語・ドイツ語: Abenomics、ロシア語: Абэномика(アベノミカ))は、当時自由民主党総裁・内閣総理大臣の安倍晋三が第2次安倍内閣において掲げた一連の経済政策の通称である。主唱者である「安倍」の姓と、経済学・経済理論の総称である「エコノミクス(英: economics)」とを合わせた造語。 2013年6月14日発表の「日本再興戦略」で全体像が明示されたアベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(規制緩和などによって資本市場や労働市場をより流動的にして、競争を活発にさせることで生産性を向上させる構造改革)の「三本の矢」を経済成長を目的とした政策運営の柱に掲げた。 アベノミクスに対する肯定的意見には、金融政策によって歴代政権の中で最も雇用を創出したことが挙げられる。失業率や有効求人倍率が著しい改善を見せたこと、2014年から2018年まで5年連続で名目賃金が上昇した ことに加え、雇用環境改善に伴う自殺者数の減少、現役世代を中心とした生活保護受給者の減少などが挙げられる。 アベノミクスに対する批判的意見には、金融政策偏重で、構造改革も重視したが財政政策については歳出を抑制し、消費税率を二度にわたって引き上げたことなどが挙げられる。また名目賃金(平均賃金)も期待されたほどの上昇はなかったとされ、実質賃金が下落したことも野党やマスコミ、国内の経済学者らから再三取り上げられる。雇用創出について有効求人倍率を見た場合、実態評価に問題のある建設労働者の有効求人倍率が10倍以上に達したことが、全体平均を押上げたと指摘する意見もある。 ただし消費税率の引き上げはアベノミクスという政策パッケージそのものではなく、民主党政権時代に法律で決定していたことや、プライマリー・バランスの黒字化が当時国際公約化されていた背景がある。アベノミクスを掲げた安倍晋三自身は国内外の経済情勢と消費税率引き上げの影響に懐疑的な見解を示し、10%への引き上げに対して二度の延期を判断しており、10%引き上げの際には民主党政権の決定時にはなかった軽減税率や、幼稚園・保育所・認定こども園などの利用料を原則無償化するための税収の使途変更が加えられた。 また名目賃金=雇用者総報酬÷雇用者数、実質賃金=名目賃金÷物価上昇率として算出されるため、実質賃金は雇用者数の増加と物価の上昇によって下がる指標であることや、数字の平均化に対して注意が必要である。月収30万円のAと無職無収入のB、2人が住む国の名目賃金は、Bが雇用者数にカウントされないため雇用者総報酬30万円÷雇用者数1人=30万円となるが、経済が回復してAが月収40万円、Bが就職し月収20万円になった場合においても名目賃金は(40万円+20万円)÷2人=30万円になる。この間に1%でもインフレが起こると実質賃金は低下する。アベノミクスにおいても雇用者総報酬、雇用者数、物価上昇率の全てが上昇し名目賃金は上がったものの、失業・無職状態から新たに雇用を得られた層は必ずしも高所得ではないため大幅な伸びには至らなかった。この間に消費税率の引き上げや1%前後のインフレがあったため、実質賃金の低下に繋がっている。 さらに前述の「実態評価に問題のある建設労働者の有効求人倍率が全体平均を押し上げた」という指摘は間違いではないが、少なくとも2019年時点で、専門的・技術的職業、販売、サービス、保全、農林漁業など、様々な業種・職種の有効求人倍率(パート含)が1倍を超えており、過去30年と比較して総合的に高水準に達していたことは明らかである。 (ja)
  • アベノミクス・安倍ノミクス(英語・フランス語・ドイツ語: Abenomics、ロシア語: Абэномика(アベノミカ))は、当時自由民主党総裁・内閣総理大臣の安倍晋三が第2次安倍内閣において掲げた一連の経済政策の通称である。主唱者である「安倍」の姓と、経済学・経済理論の総称である「エコノミクス(英: economics)」とを合わせた造語。 2013年6月14日発表の「日本再興戦略」で全体像が明示されたアベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(規制緩和などによって資本市場や労働市場をより流動的にして、競争を活発にさせることで生産性を向上させる構造改革)の「三本の矢」を経済成長を目的とした政策運営の柱に掲げた。 アベノミクスに対する肯定的意見には、金融政策によって歴代政権の中で最も雇用を創出したことが挙げられる。失業率や有効求人倍率が著しい改善を見せたこと、2014年から2018年まで5年連続で名目賃金が上昇した ことに加え、雇用環境改善に伴う自殺者数の減少、現役世代を中心とした生活保護受給者の減少などが挙げられる。 アベノミクスに対する批判的意見には、金融政策偏重で、構造改革も重視したが財政政策については歳出を抑制し、消費税率を二度にわたって引き上げたことなどが挙げられる。また名目賃金(平均賃金)も期待されたほどの上昇はなかったとされ、実質賃金が下落したことも野党やマスコミ、国内の経済学者らから再三取り上げられる。雇用創出について有効求人倍率を見た場合、実態評価に問題のある建設労働者の有効求人倍率が10倍以上に達したことが、全体平均を押上げたと指摘する意見もある。 ただし消費税率の引き上げはアベノミクスという政策パッケージそのものではなく、民主党政権時代に法律で決定していたことや、プライマリー・バランスの黒字化が当時国際公約化されていた背景がある。アベノミクスを掲げた安倍晋三自身は国内外の経済情勢と消費税率引き上げの影響に懐疑的な見解を示し、10%への引き上げに対して二度の延期を判断しており、10%引き上げの際には民主党政権の決定時にはなかった軽減税率や、幼稚園・保育所・認定こども園などの利用料を原則無償化するための税収の使途変更が加えられた。 また名目賃金=雇用者総報酬÷雇用者数、実質賃金=名目賃金÷物価上昇率として算出されるため、実質賃金は雇用者数の増加と物価の上昇によって下がる指標であることや、数字の平均化に対して注意が必要である。月収30万円のAと無職無収入のB、2人が住む国の名目賃金は、Bが雇用者数にカウントされないため雇用者総報酬30万円÷雇用者数1人=30万円となるが、経済が回復してAが月収40万円、Bが就職し月収20万円になった場合においても名目賃金は(40万円+20万円)÷2人=30万円になる。この間に1%でもインフレが起こると実質賃金は低下する。アベノミクスにおいても雇用者総報酬、雇用者数、物価上昇率の全てが上昇し名目賃金は上がったものの、失業・無職状態から新たに雇用を得られた層は必ずしも高所得ではないため大幅な伸びには至らなかった。この間に消費税率の引き上げや1%前後のインフレがあったため、実質賃金の低下に繋がっている。 さらに前述の「実態評価に問題のある建設労働者の有効求人倍率が全体平均を押し上げた」という指摘は間違いではないが、少なくとも2019年時点で、専門的・技術的職業、販売、サービス、保全、農林漁業など、様々な業種・職種の有効求人倍率(パート含)が1倍を超えており、過去30年と比較して総合的に高水準に達していたことは明らかである。 (ja)
dbo:thumbnail
dbo:wikiPageExternalLink
dbo:wikiPageID
  • 2692399 (xsd:integer)
dbo:wikiPageLength
  • 101835 (xsd:nonNegativeInteger)
dbo:wikiPageRevisionID
  • 92623765 (xsd:integer)
dbo:wikiPageWikiLink
prop-en:wikiPageUsesTemplate
dct:subject
rdfs:comment
  • アベノミクス・安倍ノミクス(英語・フランス語・ドイツ語: Abenomics、ロシア語: Абэномика(アベノミカ))は、当時自由民主党総裁・内閣総理大臣の安倍晋三が第2次安倍内閣において掲げた一連の経済政策の通称である。主唱者である「安倍」の姓と、経済学・経済理論の総称である「エコノミクス(英: economics)」とを合わせた造語。 2013年6月14日発表の「日本再興戦略」で全体像が明示されたアベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(規制緩和などによって資本市場や労働市場をより流動的にして、競争を活発にさせることで生産性を向上させる構造改革)の「三本の矢」を経済成長を目的とした政策運営の柱に掲げた。 アベノミクスに対する肯定的意見には、金融政策によって歴代政権の中で最も雇用を創出したことが挙げられる。失業率や有効求人倍率が著しい改善を見せたこと、2014年から2018年まで5年連続で名目賃金が上昇した ことに加え、雇用環境改善に伴う自殺者数の減少、現役世代を中心とした生活保護受給者の減少などが挙げられる。 (ja)
  • アベノミクス・安倍ノミクス(英語・フランス語・ドイツ語: Abenomics、ロシア語: Абэномика(アベノミカ))は、当時自由民主党総裁・内閣総理大臣の安倍晋三が第2次安倍内閣において掲げた一連の経済政策の通称である。主唱者である「安倍」の姓と、経済学・経済理論の総称である「エコノミクス(英: economics)」とを合わせた造語。 2013年6月14日発表の「日本再興戦略」で全体像が明示されたアベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略(規制緩和などによって資本市場や労働市場をより流動的にして、競争を活発にさせることで生産性を向上させる構造改革)の「三本の矢」を経済成長を目的とした政策運営の柱に掲げた。 アベノミクスに対する肯定的意見には、金融政策によって歴代政権の中で最も雇用を創出したことが挙げられる。失業率や有効求人倍率が著しい改善を見せたこと、2014年から2018年まで5年連続で名目賃金が上昇した ことに加え、雇用環境改善に伴う自殺者数の減少、現役世代を中心とした生活保護受給者の減少などが挙げられる。 (ja)
rdfs:label
  • アベノミクス (ja)
  • アベノミクス (ja)
owl:sameAs
prov:wasDerivedFrom
foaf:depiction
foaf:isPrimaryTopicOf
is dbo:wikiPageRedirects of
is dbo:wikiPageWikiLink of
is owl:sameAs of
is foaf:primaryTopic of