辻・トロスト反応(つじトロストはんのう、英: Tsuji-Trost reaction)はπ-アリルパラジウムに対して求核試薬が付加する化学反応のことである。1965年に辻二郎らによってはじめて報告された。その後1973年に、バリー・トロストらによってホスフィン配位子が導入され、また不斉反応化が行われるなどしたことから、二人の名を冠して呼ばれている。 0価のパラジウム錯体は二重結合に配位したのち、アリル位の炭素-ヘテロ原子結合に対して酸化的付加を行い、π-アリル錯体を形成する。このπ-アリルパラジウムのアリル配位子は求電子性で、主にやわらかい炭素求核試薬の付加を受ける。ハロゲン化アリルへの求核置換反応と等価であるが、条件がより温和であったり特徴的な立体選択性を持つ点で使い分けされる。 1965年に辻によって報告されたやり方では、π-アリルパラジウム錯体はマロン酸ジエチルのナトリウム塩と反応し、モノアルキルおよびジアルキル生成物の混合物を与える。 辻の研究は、求核剤としても水とオレフィン-パラジウムクロリド錯体の反応によるケトンの形成を1962年に報告したSchmidtによる以前の研究を基礎としている。 1973年にトロストによって報告された異なるアルケンを用いた場合のやり方では、トリフェニルホスフィンが反応の進行に必要である(辻の条件では反応は進行しない)。

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  • 辻・トロスト反応(つじトロストはんのう、英: Tsuji-Trost reaction)はπ-アリルパラジウムに対して求核試薬が付加する化学反応のことである。1965年に辻二郎らによってはじめて報告された。その後1973年に、バリー・トロストらによってホスフィン配位子が導入され、また不斉反応化が行われるなどしたことから、二人の名を冠して呼ばれている。 0価のパラジウム錯体は二重結合に配位したのち、アリル位の炭素-ヘテロ原子結合に対して酸化的付加を行い、π-アリル錯体を形成する。このπ-アリルパラジウムのアリル配位子は求電子性で、主にやわらかい炭素求核試薬の付加を受ける。ハロゲン化アリルへの求核置換反応と等価であるが、条件がより温和であったり特徴的な立体選択性を持つ点で使い分けされる。 1965年に辻によって報告されたやり方では、π-アリルパラジウム錯体はマロン酸ジエチルのナトリウム塩と反応し、モノアルキルおよびジアルキル生成物の混合物を与える。 辻の研究は、求核剤としても水とオレフィン-パラジウムクロリド錯体の反応によるケトンの形成を1962年に報告したSchmidtによる以前の研究を基礎としている。 1973年にトロストによって報告された異なるアルケンを用いた場合のやり方では、トリフェニルホスフィンが反応の進行に必要である(辻の条件では反応は進行しない)。 (ja)
  • 辻・トロスト反応(つじトロストはんのう、英: Tsuji-Trost reaction)はπ-アリルパラジウムに対して求核試薬が付加する化学反応のことである。1965年に辻二郎らによってはじめて報告された。その後1973年に、バリー・トロストらによってホスフィン配位子が導入され、また不斉反応化が行われるなどしたことから、二人の名を冠して呼ばれている。 0価のパラジウム錯体は二重結合に配位したのち、アリル位の炭素-ヘテロ原子結合に対して酸化的付加を行い、π-アリル錯体を形成する。このπ-アリルパラジウムのアリル配位子は求電子性で、主にやわらかい炭素求核試薬の付加を受ける。ハロゲン化アリルへの求核置換反応と等価であるが、条件がより温和であったり特徴的な立体選択性を持つ点で使い分けされる。 1965年に辻によって報告されたやり方では、π-アリルパラジウム錯体はマロン酸ジエチルのナトリウム塩と反応し、モノアルキルおよびジアルキル生成物の混合物を与える。 辻の研究は、求核剤としても水とオレフィン-パラジウムクロリド錯体の反応によるケトンの形成を1962年に報告したSchmidtによる以前の研究を基礎としている。 1973年にトロストによって報告された異なるアルケンを用いた場合のやり方では、トリフェニルホスフィンが反応の進行に必要である(辻の条件では反応は進行しない)。 (ja)
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  • 辻・トロスト反応(つじトロストはんのう、英: Tsuji-Trost reaction)はπ-アリルパラジウムに対して求核試薬が付加する化学反応のことである。1965年に辻二郎らによってはじめて報告された。その後1973年に、バリー・トロストらによってホスフィン配位子が導入され、また不斉反応化が行われるなどしたことから、二人の名を冠して呼ばれている。 0価のパラジウム錯体は二重結合に配位したのち、アリル位の炭素-ヘテロ原子結合に対して酸化的付加を行い、π-アリル錯体を形成する。このπ-アリルパラジウムのアリル配位子は求電子性で、主にやわらかい炭素求核試薬の付加を受ける。ハロゲン化アリルへの求核置換反応と等価であるが、条件がより温和であったり特徴的な立体選択性を持つ点で使い分けされる。 1965年に辻によって報告されたやり方では、π-アリルパラジウム錯体はマロン酸ジエチルのナトリウム塩と反応し、モノアルキルおよびジアルキル生成物の混合物を与える。 辻の研究は、求核剤としても水とオレフィン-パラジウムクロリド錯体の反応によるケトンの形成を1962年に報告したSchmidtによる以前の研究を基礎としている。 1973年にトロストによって報告された異なるアルケンを用いた場合のやり方では、トリフェニルホスフィンが反応の進行に必要である(辻の条件では反応は進行しない)。 (ja)
  • 辻・トロスト反応(つじトロストはんのう、英: Tsuji-Trost reaction)はπ-アリルパラジウムに対して求核試薬が付加する化学反応のことである。1965年に辻二郎らによってはじめて報告された。その後1973年に、バリー・トロストらによってホスフィン配位子が導入され、また不斉反応化が行われるなどしたことから、二人の名を冠して呼ばれている。 0価のパラジウム錯体は二重結合に配位したのち、アリル位の炭素-ヘテロ原子結合に対して酸化的付加を行い、π-アリル錯体を形成する。このπ-アリルパラジウムのアリル配位子は求電子性で、主にやわらかい炭素求核試薬の付加を受ける。ハロゲン化アリルへの求核置換反応と等価であるが、条件がより温和であったり特徴的な立体選択性を持つ点で使い分けされる。 1965年に辻によって報告されたやり方では、π-アリルパラジウム錯体はマロン酸ジエチルのナトリウム塩と反応し、モノアルキルおよびジアルキル生成物の混合物を与える。 辻の研究は、求核剤としても水とオレフィン-パラジウムクロリド錯体の反応によるケトンの形成を1962年に報告したSchmidtによる以前の研究を基礎としている。 1973年にトロストによって報告された異なるアルケンを用いた場合のやり方では、トリフェニルホスフィンが反応の進行に必要である(辻の条件では反応は進行しない)。 (ja)
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  • 辻・トロスト反応 (ja)
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