通し矢(とおしや)は、弓術の一種目。堂射(どうしゃ)、堂前(どうまえ)などともいう。京都蓮華王院(三十三間堂)の本堂西側の軒下(長さ約121m)を南から北に矢を射通す競技である。いくつかの種目があったが、一昼夜に南端から北端に射通した矢の数を競う「大矢数」が有名である。江戸時代前期に最盛期となり、有力藩の後ろ盾のもと多くの射手が挑戦して記録更新が相次いだ。しかし中期以降は大規模な通し矢競技は行われなくなった。京都三十三間堂の他、通し矢用に作られた江戸三十三間堂や東大寺大仏殿回廊でも行われた。通し矢用に工夫された技術・用具は現代の弓道にも影響を与えている。