真行草(しんぎょうそう)とは、書の書体、真書・行書・草書の総称である。転じて、日本の中世以来の諸芸道では、様式や空間の価値概念を表す理念語として使用されている。 平安時代末期より真行草の格の違いから、書道の稽古は行書をまず習得し、次に草書を学べという指導理論が発生し、その後の諸芸道の階梯論に強い影響を与えた。また、「真は行草に通ぜず草もまた真行に通ぜず」としつつ、二元論では無い「行」という曖昧な中間概念が幽玄などの繊細な心の有り様を示し、行の真・行の草といった日本独自の細分化が行われ、場に臨む心構えを説く適場論へと発展した。