炭素過剰金属欠乏星(Carbon enhanced metal poor star, CEMP)とは恒星の分類の一つ。金属量の少ない化学特異星に見られるクラスであり、組成に占める鉄原子が少ないのうち、鉄原子に対して炭素原子が過剰に存在するものをいう。具体的には [Fe/H] が-1以下、すなわち太陽の組成と比べて鉄原子の水素原子に対する比率が10分の1以下の恒星で、なおかつ [C/Fe] が+1.0以上、すなわち太陽の組成と比べて炭素原子と鉄原子の比率が10倍以上に達するものをいう。ただし研究によっては [C/Fe] の閾値として+0.7(約5倍)などの異なる値を採用している場合もある。 CEMPは金属量の低い恒星になるほど高い頻度で見られるようになる。[Fe/H] が-2以下の恒星で15~20%、-3以下の恒星で約30%、-4以下の恒星で約75%がCEMPである。CEMPは炭素星とは異なる起源を持つと考えられているが、炭素星と同様にスペクトルにはの特徴的な吸収線が見られる。 CEMPは元素組成の違いによって次のサブクラスに分かれる。 * CEMP-s - s過程で合成される元素が過剰に存在する。 * CEMP-r/s - r過程とs過程で合成される元素の双方が過剰に存在する。 * CEMP-no - r過程とs過程元素のいずれも過剰ではない。

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  • 炭素過剰金属欠乏星(Carbon enhanced metal poor star, CEMP)とは恒星の分類の一つ。金属量の少ない化学特異星に見られるクラスであり、組成に占める鉄原子が少ないのうち、鉄原子に対して炭素原子が過剰に存在するものをいう。具体的には [Fe/H] が-1以下、すなわち太陽の組成と比べて鉄原子の水素原子に対する比率が10分の1以下の恒星で、なおかつ [C/Fe] が+1.0以上、すなわち太陽の組成と比べて炭素原子と鉄原子の比率が10倍以上に達するものをいう。ただし研究によっては [C/Fe] の閾値として+0.7(約5倍)などの異なる値を採用している場合もある。 CEMPは金属量の低い恒星になるほど高い頻度で見られるようになる。[Fe/H] が-2以下の恒星で15~20%、-3以下の恒星で約30%、-4以下の恒星で約75%がCEMPである。CEMPは炭素星とは異なる起源を持つと考えられているが、炭素星と同様にスペクトルにはの特徴的な吸収線が見られる。 CEMPは元素組成の違いによって次のサブクラスに分かれる。 * CEMP-s - s過程で合成される元素が過剰に存在する。 * CEMP-r/s - r過程とs過程で合成される元素の双方が過剰に存在する。 * CEMP-no - r過程とs過程元素のいずれも過剰ではない。 それぞれサブクラスが占める割合は銀河の領域によって差がある。銀河系ではハローの外側にあるCEMPは内側と比べてCEMP-noサブクラスの比率が高い。 CEMPが形成されるプロセスとしては2つが考えられている。一つは、金属量の低い連星系で主星が漸近巨星分枝星となり、炭素に富んだ物質が伴星に移転した場合である。もう一つは、金属量の低い環境で第一世代の恒星が超新星を起こし、炭素に富む星間物質がまき散らされ、その物質から恒星が生まれた場合である。 (ja)
  • 炭素過剰金属欠乏星(Carbon enhanced metal poor star, CEMP)とは恒星の分類の一つ。金属量の少ない化学特異星に見られるクラスであり、組成に占める鉄原子が少ないのうち、鉄原子に対して炭素原子が過剰に存在するものをいう。具体的には [Fe/H] が-1以下、すなわち太陽の組成と比べて鉄原子の水素原子に対する比率が10分の1以下の恒星で、なおかつ [C/Fe] が+1.0以上、すなわち太陽の組成と比べて炭素原子と鉄原子の比率が10倍以上に達するものをいう。ただし研究によっては [C/Fe] の閾値として+0.7(約5倍)などの異なる値を採用している場合もある。 CEMPは金属量の低い恒星になるほど高い頻度で見られるようになる。[Fe/H] が-2以下の恒星で15~20%、-3以下の恒星で約30%、-4以下の恒星で約75%がCEMPである。CEMPは炭素星とは異なる起源を持つと考えられているが、炭素星と同様にスペクトルにはの特徴的な吸収線が見られる。 CEMPは元素組成の違いによって次のサブクラスに分かれる。 * CEMP-s - s過程で合成される元素が過剰に存在する。 * CEMP-r/s - r過程とs過程で合成される元素の双方が過剰に存在する。 * CEMP-no - r過程とs過程元素のいずれも過剰ではない。 それぞれサブクラスが占める割合は銀河の領域によって差がある。銀河系ではハローの外側にあるCEMPは内側と比べてCEMP-noサブクラスの比率が高い。 CEMPが形成されるプロセスとしては2つが考えられている。一つは、金属量の低い連星系で主星が漸近巨星分枝星となり、炭素に富んだ物質が伴星に移転した場合である。もう一つは、金属量の低い環境で第一世代の恒星が超新星を起こし、炭素に富む星間物質がまき散らされ、その物質から恒星が生まれた場合である。 (ja)
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  • 炭素過剰金属欠乏星(Carbon enhanced metal poor star, CEMP)とは恒星の分類の一つ。金属量の少ない化学特異星に見られるクラスであり、組成に占める鉄原子が少ないのうち、鉄原子に対して炭素原子が過剰に存在するものをいう。具体的には [Fe/H] が-1以下、すなわち太陽の組成と比べて鉄原子の水素原子に対する比率が10分の1以下の恒星で、なおかつ [C/Fe] が+1.0以上、すなわち太陽の組成と比べて炭素原子と鉄原子の比率が10倍以上に達するものをいう。ただし研究によっては [C/Fe] の閾値として+0.7(約5倍)などの異なる値を採用している場合もある。 CEMPは金属量の低い恒星になるほど高い頻度で見られるようになる。[Fe/H] が-2以下の恒星で15~20%、-3以下の恒星で約30%、-4以下の恒星で約75%がCEMPである。CEMPは炭素星とは異なる起源を持つと考えられているが、炭素星と同様にスペクトルにはの特徴的な吸収線が見られる。 CEMPは元素組成の違いによって次のサブクラスに分かれる。 * CEMP-s - s過程で合成される元素が過剰に存在する。 * CEMP-r/s - r過程とs過程で合成される元素の双方が過剰に存在する。 * CEMP-no - r過程とs過程元素のいずれも過剰ではない。 (ja)
  • 炭素過剰金属欠乏星(Carbon enhanced metal poor star, CEMP)とは恒星の分類の一つ。金属量の少ない化学特異星に見られるクラスであり、組成に占める鉄原子が少ないのうち、鉄原子に対して炭素原子が過剰に存在するものをいう。具体的には [Fe/H] が-1以下、すなわち太陽の組成と比べて鉄原子の水素原子に対する比率が10分の1以下の恒星で、なおかつ [C/Fe] が+1.0以上、すなわち太陽の組成と比べて炭素原子と鉄原子の比率が10倍以上に達するものをいう。ただし研究によっては [C/Fe] の閾値として+0.7(約5倍)などの異なる値を採用している場合もある。 CEMPは金属量の低い恒星になるほど高い頻度で見られるようになる。[Fe/H] が-2以下の恒星で15~20%、-3以下の恒星で約30%、-4以下の恒星で約75%がCEMPである。CEMPは炭素星とは異なる起源を持つと考えられているが、炭素星と同様にスペクトルにはの特徴的な吸収線が見られる。 CEMPは元素組成の違いによって次のサブクラスに分かれる。 * CEMP-s - s過程で合成される元素が過剰に存在する。 * CEMP-r/s - r過程とs過程で合成される元素の双方が過剰に存在する。 * CEMP-no - r過程とs過程元素のいずれも過剰ではない。 (ja)
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  • 炭素過剰金属欠乏星 (ja)
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