改良型CANDU炉 (Advanced CANDU reactor, ACR) は、かつてカナダ原子力公社が開発を進めていた発電用の第3世代+原子炉で、CANDU炉を発展・改良したものである。 ACRは軽水冷却炉で、重水炉(PHWR)と改良型加圧水型軽水炉(APWR)の双方の技術を利用している。設計コンセプトとしては重水減速沸騰軽水冷却炉(SGHWR)と類似のものである。ACR-1000の出力は約1200MWeである。 この設計では、燃料に低濃縮ウラン、冷却材に軽水、減速材に重水を採用しており、反応度制御材や安全装置は低圧の減速材の中に設置されている。ACRはCANDU炉からさまざまな特徴を受け継いでいる。 * CANFLEX燃料を採用し、使用運転中の燃料交換が可能である * 即発中性子の寿命が長い * 長期連続運転における反応度の低下が小さい * 2系統の完全に独立した高速動作する保安停止システムを有する * 非常用炉心冷却装置を有する(第2世代以降の原子炉では必須) 炉心はコンパクトで、旧来の設計と比較すると半分のサイズで同じ出力を実現できるようになっている。

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  • 改良型CANDU炉 (Advanced CANDU reactor, ACR) は、かつてカナダ原子力公社が開発を進めていた発電用の第3世代+原子炉で、CANDU炉を発展・改良したものである。 ACRは軽水冷却炉で、重水炉(PHWR)と改良型加圧水型軽水炉(APWR)の双方の技術を利用している。設計コンセプトとしては重水減速沸騰軽水冷却炉(SGHWR)と類似のものである。ACR-1000の出力は約1200MWeである。 この設計では、燃料に低濃縮ウラン、冷却材に軽水、減速材に重水を採用しており、反応度制御材や安全装置は低圧の減速材の中に設置されている。ACRはCANDU炉からさまざまな特徴を受け継いでいる。 * CANFLEX燃料を採用し、使用運転中の燃料交換が可能である * 即発中性子の寿命が長い * 長期連続運転における反応度の低下が小さい * 2系統の完全に独立した高速動作する保安停止システムを有する * 非常用炉心冷却装置を有する(第2世代以降の原子炉では必須) 炉心はコンパクトで、旧来の設計と比較すると半分のサイズで同じ出力を実現できるようになっている。 燃料集合体はCANFLEXの派生型で43エレメントのCANFLEX-ACRである。中心部に中性子吸収体を配置した低濃縮ウラン燃料を使用することにより、 反応度のボイド係数を低減し、負の値にすることができる。また、これにより従来のCANDU炉と比較して燃焼度を高めることができる。 ACR-1000は従来型CANDU炉の拡大設計版であるCANDU-9の低価格オプションとされていた。ACRはCANDU-9より若干大きくなるが、その代わり建設費や運転費用は安くなる見込みであった。一方で、天然ウランでは運転できず、従来型のCANDU炉が持っていた燃料の柔軟性という特徴が失われてしまっていたが、一般に濃縮や燃料にかかるコスト自体は低いことを考えると、大きな問題ではないとされた。 カナダ原子力公社は世界中の新設案件で ACR-1000 を提案したが、どれも受注には至らなかった。最後に提案されたのはダーリントン原子力発電所への2基増設案件であったが、政府の想定入札額の3倍もの高額での入札であったことから2009年にプロジェクトそのものがキャンセルされてしまった。その後、受注の見込みがないことからカナダ原子力公社公社の原子炉部門は既存のCANDU炉向けのサービスを行うためにSNCラバリンに売却され、ACRの開発は終了された。 (ja)
  • 改良型CANDU炉 (Advanced CANDU reactor, ACR) は、かつてカナダ原子力公社が開発を進めていた発電用の第3世代+原子炉で、CANDU炉を発展・改良したものである。 ACRは軽水冷却炉で、重水炉(PHWR)と改良型加圧水型軽水炉(APWR)の双方の技術を利用している。設計コンセプトとしては重水減速沸騰軽水冷却炉(SGHWR)と類似のものである。ACR-1000の出力は約1200MWeである。 この設計では、燃料に低濃縮ウラン、冷却材に軽水、減速材に重水を採用しており、反応度制御材や安全装置は低圧の減速材の中に設置されている。ACRはCANDU炉からさまざまな特徴を受け継いでいる。 * CANFLEX燃料を採用し、使用運転中の燃料交換が可能である * 即発中性子の寿命が長い * 長期連続運転における反応度の低下が小さい * 2系統の完全に独立した高速動作する保安停止システムを有する * 非常用炉心冷却装置を有する(第2世代以降の原子炉では必須) 炉心はコンパクトで、旧来の設計と比較すると半分のサイズで同じ出力を実現できるようになっている。 燃料集合体はCANFLEXの派生型で43エレメントのCANFLEX-ACRである。中心部に中性子吸収体を配置した低濃縮ウラン燃料を使用することにより、 反応度のボイド係数を低減し、負の値にすることができる。また、これにより従来のCANDU炉と比較して燃焼度を高めることができる。 ACR-1000は従来型CANDU炉の拡大設計版であるCANDU-9の低価格オプションとされていた。ACRはCANDU-9より若干大きくなるが、その代わり建設費や運転費用は安くなる見込みであった。一方で、天然ウランでは運転できず、従来型のCANDU炉が持っていた燃料の柔軟性という特徴が失われてしまっていたが、一般に濃縮や燃料にかかるコスト自体は低いことを考えると、大きな問題ではないとされた。 カナダ原子力公社は世界中の新設案件で ACR-1000 を提案したが、どれも受注には至らなかった。最後に提案されたのはダーリントン原子力発電所への2基増設案件であったが、政府の想定入札額の3倍もの高額での入札であったことから2009年にプロジェクトそのものがキャンセルされてしまった。その後、受注の見込みがないことからカナダ原子力公社公社の原子炉部門は既存のCANDU炉向けのサービスを行うためにSNCラバリンに売却され、ACRの開発は終了された。 (ja)
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  • 改良型CANDU炉 (Advanced CANDU reactor, ACR) は、かつてカナダ原子力公社が開発を進めていた発電用の第3世代+原子炉で、CANDU炉を発展・改良したものである。 ACRは軽水冷却炉で、重水炉(PHWR)と改良型加圧水型軽水炉(APWR)の双方の技術を利用している。設計コンセプトとしては重水減速沸騰軽水冷却炉(SGHWR)と類似のものである。ACR-1000の出力は約1200MWeである。 この設計では、燃料に低濃縮ウラン、冷却材に軽水、減速材に重水を採用しており、反応度制御材や安全装置は低圧の減速材の中に設置されている。ACRはCANDU炉からさまざまな特徴を受け継いでいる。 * CANFLEX燃料を採用し、使用運転中の燃料交換が可能である * 即発中性子の寿命が長い * 長期連続運転における反応度の低下が小さい * 2系統の完全に独立した高速動作する保安停止システムを有する * 非常用炉心冷却装置を有する(第2世代以降の原子炉では必須) 炉心はコンパクトで、旧来の設計と比較すると半分のサイズで同じ出力を実現できるようになっている。 (ja)
  • 改良型CANDU炉 (Advanced CANDU reactor, ACR) は、かつてカナダ原子力公社が開発を進めていた発電用の第3世代+原子炉で、CANDU炉を発展・改良したものである。 ACRは軽水冷却炉で、重水炉(PHWR)と改良型加圧水型軽水炉(APWR)の双方の技術を利用している。設計コンセプトとしては重水減速沸騰軽水冷却炉(SGHWR)と類似のものである。ACR-1000の出力は約1200MWeである。 この設計では、燃料に低濃縮ウラン、冷却材に軽水、減速材に重水を採用しており、反応度制御材や安全装置は低圧の減速材の中に設置されている。ACRはCANDU炉からさまざまな特徴を受け継いでいる。 * CANFLEX燃料を採用し、使用運転中の燃料交換が可能である * 即発中性子の寿命が長い * 長期連続運転における反応度の低下が小さい * 2系統の完全に独立した高速動作する保安停止システムを有する * 非常用炉心冷却装置を有する(第2世代以降の原子炉では必須) 炉心はコンパクトで、旧来の設計と比較すると半分のサイズで同じ出力を実現できるようになっている。 (ja)
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  • 改良型CANDU炉 (ja)
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