『夜会服』(やかいふく)は、三島由紀夫の長編小説。華族時代の西欧式社交パーティーに夢中になる母親と、その「夜会服」の世界に反抗する息子との間で、板挟みになる嫁が葛藤する三角関係の嫁姑物語。乗馬や様々な風俗を盛り込みながら、嫁となる娘の婚約から新婚時代の心理劇が娯楽的な趣で綴られていく中にも、「夜会服」の世界の中で万能の能力を備えた青年のジレンマと虚無が、明治以来から西欧社会に倣わざるを得ない近代日本の本音と建前に暗喩されて描かれている。 1966年(昭和41年)、雑誌『』9月号から翌年1967年(昭和42年)8月号に連載された。単行本は同年9月30日に集英社より刊行された。文庫版は角川文庫で刊行されている。