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- トンネル電界効果トランジスタ(トンネルFET、TFET)は、現在は実験段階にあるトランジスタ。その構造はMOSFETと非常によく似ているが、基本的なスイッチング機構は異なっており、低電力エレクトロニクスに対する有望株である。TFETは、従来のMOSFETのように反転層の形成によるスイッチングではなく、障壁を介して量子トンネリングを変調することによりスイッチングする。このため、MOSFETのドレイン電流のサブスレッショルド振幅を室温で約60mV/decade(正確には300Kで63 mV/decade)に制限していたキャリアの熱分布であるマクスウェル=ボルツマン分布の裾にTFETは制限されない。この概念はIBMで研究を行っていたチャンらにより提案された。Joerg AppenzellerとIBMの彼の共同研究者は、MOSFETの60mV/decadeの制限より小さいサブスレッショルド振幅が可能であることを初めて実証した。彼らは2004年にチャネルがカーボンナノチューブであり、わずか40mV/decadeのサブスレッショルド振幅であるトンネルトランジスタを作成したと報告している。 2015年、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のKaustav Banerjeeをリーダーとするチームは、原子的レベルに薄いMoS2を活性チャネル、ゲルマニウムをソース電極とする垂直構造を作製することでトンネルトランジスタを実証した。これはわずか3.9mV/decadeの最小サブスレッショルド振幅であり、室温でドレイン電流の4桁の領域において平均30mV/decadeを示し、0.1Vでスイッチングすることができる。 理論的研究により、論理回路においてMOSFETの代わりに低電圧TFETを用いることでかなりの低消費電力化を実現することができることが示されている。 従来のMOSFETでは、63 mV/decadeが電力スケーリングの基本限界である。オン電流とオフ電流の間の比(特にサブスレッショルドリーク - 電力消費の主要な要因の1つ)は、スレッショルド電圧とサブスレッショルドスロープの間に比により与えられる。例えば サブスレッショルド振幅はトランジスタの速度に比例する(サブスレッショルド振幅が低いほどトランジスタはファンアウト(連続容量負荷)を速く充電することができる)。所与のトランジスタ速度と最大許容サブスレッショルドリークに対して、サブスレッショルドスロープは最小閾値電圧を定義する。スレッショルド電圧を下げることは、の概念において不可欠な部分である。2003年以降、主要な技術開発者はほぼ閾値電圧のスケーリングに固執しており、それにより供給電圧(技術的な理由により高性能デバイスに対する閾値電圧の少なくとも3倍にする必要がある)をスケーリングすることもできなかった。結果として、プロセッサの速度は2003年より前ほど速く向上しなかった(Beyond CMOS参照)。63 mV/decadeをはるかに下回るスロープを持つ量産可能なTFETの出現により、1990年より続くプロセッサ周波数が3年ごとに2倍になるスケーリング傾向を持続することができる。 (ja)
- トンネル電界効果トランジスタ(トンネルFET、TFET)は、現在は実験段階にあるトランジスタ。その構造はMOSFETと非常によく似ているが、基本的なスイッチング機構は異なっており、低電力エレクトロニクスに対する有望株である。TFETは、従来のMOSFETのように反転層の形成によるスイッチングではなく、障壁を介して量子トンネリングを変調することによりスイッチングする。このため、MOSFETのドレイン電流のサブスレッショルド振幅を室温で約60mV/decade(正確には300Kで63 mV/decade)に制限していたキャリアの熱分布であるマクスウェル=ボルツマン分布の裾にTFETは制限されない。この概念はIBMで研究を行っていたチャンらにより提案された。Joerg AppenzellerとIBMの彼の共同研究者は、MOSFETの60mV/decadeの制限より小さいサブスレッショルド振幅が可能であることを初めて実証した。彼らは2004年にチャネルがカーボンナノチューブであり、わずか40mV/decadeのサブスレッショルド振幅であるトンネルトランジスタを作成したと報告している。 2015年、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のKaustav Banerjeeをリーダーとするチームは、原子的レベルに薄いMoS2を活性チャネル、ゲルマニウムをソース電極とする垂直構造を作製することでトンネルトランジスタを実証した。これはわずか3.9mV/decadeの最小サブスレッショルド振幅であり、室温でドレイン電流の4桁の領域において平均30mV/decadeを示し、0.1Vでスイッチングすることができる。 理論的研究により、論理回路においてMOSFETの代わりに低電圧TFETを用いることでかなりの低消費電力化を実現することができることが示されている。 従来のMOSFETでは、63 mV/decadeが電力スケーリングの基本限界である。オン電流とオフ電流の間の比(特にサブスレッショルドリーク - 電力消費の主要な要因の1つ)は、スレッショルド電圧とサブスレッショルドスロープの間に比により与えられる。例えば サブスレッショルド振幅はトランジスタの速度に比例する(サブスレッショルド振幅が低いほどトランジスタはファンアウト(連続容量負荷)を速く充電することができる)。所与のトランジスタ速度と最大許容サブスレッショルドリークに対して、サブスレッショルドスロープは最小閾値電圧を定義する。スレッショルド電圧を下げることは、の概念において不可欠な部分である。2003年以降、主要な技術開発者はほぼ閾値電圧のスケーリングに固執しており、それにより供給電圧(技術的な理由により高性能デバイスに対する閾値電圧の少なくとも3倍にする必要がある)をスケーリングすることもできなかった。結果として、プロセッサの速度は2003年より前ほど速く向上しなかった(Beyond CMOS参照)。63 mV/decadeをはるかに下回るスロープを持つ量産可能なTFETの出現により、1990年より続くプロセッサ周波数が3年ごとに2倍になるスケーリング傾向を持続することができる。 (ja)
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- トンネル電界効果トランジスタ(トンネルFET、TFET)は、現在は実験段階にあるトランジスタ。その構造はMOSFETと非常によく似ているが、基本的なスイッチング機構は異なっており、低電力エレクトロニクスに対する有望株である。TFETは、従来のMOSFETのように反転層の形成によるスイッチングではなく、障壁を介して量子トンネリングを変調することによりスイッチングする。このため、MOSFETのドレイン電流のサブスレッショルド振幅を室温で約60mV/decade(正確には300Kで63 mV/decade)に制限していたキャリアの熱分布であるマクスウェル=ボルツマン分布の裾にTFETは制限されない。この概念はIBMで研究を行っていたチャンらにより提案された。Joerg AppenzellerとIBMの彼の共同研究者は、MOSFETの60mV/decadeの制限より小さいサブスレッショルド振幅が可能であることを初めて実証した。彼らは2004年にチャネルがカーボンナノチューブであり、わずか40mV/decadeのサブスレッショルド振幅であるトンネルトランジスタを作成したと報告している。 理論的研究により、論理回路においてMOSFETの代わりに低電圧TFETを用いることでかなりの低消費電力化を実現することができることが示されている。 (ja)
- トンネル電界効果トランジスタ(トンネルFET、TFET)は、現在は実験段階にあるトランジスタ。その構造はMOSFETと非常によく似ているが、基本的なスイッチング機構は異なっており、低電力エレクトロニクスに対する有望株である。TFETは、従来のMOSFETのように反転層の形成によるスイッチングではなく、障壁を介して量子トンネリングを変調することによりスイッチングする。このため、MOSFETのドレイン電流のサブスレッショルド振幅を室温で約60mV/decade(正確には300Kで63 mV/decade)に制限していたキャリアの熱分布であるマクスウェル=ボルツマン分布の裾にTFETは制限されない。この概念はIBMで研究を行っていたチャンらにより提案された。Joerg AppenzellerとIBMの彼の共同研究者は、MOSFETの60mV/decadeの制限より小さいサブスレッショルド振幅が可能であることを初めて実証した。彼らは2004年にチャネルがカーボンナノチューブであり、わずか40mV/decadeのサブスレッショルド振幅であるトンネルトランジスタを作成したと報告している。 理論的研究により、論理回路においてMOSFETの代わりに低電圧TFETを用いることでかなりの低消費電力化を実現することができることが示されている。 (ja)
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- トンネル電界効果トランジスタ (ja)
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