ダラズィーあるいはナシュタキーンと呼ばれたムハンマド・イブン・イスマーイールは、11世紀イスラーム・シーア派のイスマーイール派の(布教師)である。ファーティマ朝の第6代カリフ、ハーキム・ビアムルッラーフを神格化する新しい宗派の布教師としてカイロからへ送り出され、多くの信者を獲得した。ハーキムを神格化する一派のうち、カイロのコミュニティは、ハーキムの息子、ザーヒルにより弾圧され歴史から姿を消したが、ダラズィーが布教に成功したシャーム地方のコミュニティは残り、ドゥルーズ派として現代に至っている。ダラズィーは1018年又は1019年に何者かによって暗殺された。一説によるとハーキム自身の差し金により殺されたという。ダラズィーは飲酒を認め、婚姻を禁じ、輪廻転生を教えたとされる。ただしこれは、同時代人により大げさに伝えられたものであり、後代の歴史家やドゥルーズ派への敵対者による誇張がなされているという反論も存在する。
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