スイゼンジノリ (水前寺苔、学名: Aphanothece sacrum) は、清澄な湧水に生育する藍藻 (シアノバクテリア) の1種であり、九州の一部のみから報告されている。多数の細胞が寒天質基質に包まれ、緑色から褐色で不定形の群体を形成し、水中に浮遊している (右図)。明治5年 (1872年)、オランダのスリンガー(Willem Frederik Reinier Suringar)が熊本市水前寺成趣園の池から採集されたものをもとに記載した。種小名の「sacrum」は「聖なる」を意味し、水前寺に敬意を表して命名された。福岡県朝倉市の黄金川および熊本県上益城郡で養殖されている。食用とされるほか、寒天質基質に含まれる多糖であるサクランが化粧品などに利用されている。