クリストとジャンヌ=クロード (英語: Christo & Jeanne-Claude) は、環境アート作品を作成していた芸術家夫婦である。夫のクリストと妻のジャンヌ=クロードは同じ1935年6月13日生まれである。 20世紀の美術は芸術概念の拡張からさまざまな流派や傾向を生み、「アースワーク」「ハプニング」のような、従来の「美術」の枠組みからはずれたものも多い。ランド・アートの作家とされることもあるが、クリスト自身はその作品をランド・アートとみなしていない。こうした活動の美術史的評価はまだ定まっているとは言い難いが、クリストの活動はそれを肯定的に評価するかどうかは別問題として、「芸術とは何か」という問いをあらためて投げかけた点で、後世に記憶されるであろう。 これらの「作品」はその性格上(布の性質、天候による破損のおそれ、自然に対する影響、担当役所による設置許可期間など)永続することは不可能で、もとよりクリストには恒久展示して永続させる意図はまったくなく(作品は夢のように現れ、夢のように消えて観客の中にしか残らない)、今は記録写真によってしか見ることはできない。見た者は、人工的な色の布で自然の風景が変わることや、見慣れた都会の風景が梱包で一変することに新鮮なショックをうける。もっとも巨大化する一方の梱包や、産業化したクリスト夫妻の作品制作に対する疑問もある。

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  • クリストとジャンヌ=クロード (英語: Christo & Jeanne-Claude) は、環境アート作品を作成していた芸術家夫婦である。夫のクリストと妻のジャンヌ=クロードは同じ1935年6月13日生まれである。 20世紀の美術は芸術概念の拡張からさまざまな流派や傾向を生み、「アースワーク」「ハプニング」のような、従来の「美術」の枠組みからはずれたものも多い。ランド・アートの作家とされることもあるが、クリスト自身はその作品をランド・アートとみなしていない。こうした活動の美術史的評価はまだ定まっているとは言い難いが、クリストの活動はそれを肯定的に評価するかどうかは別問題として、「芸術とは何か」という問いをあらためて投げかけた点で、後世に記憶されるであろう。 その「作品」は一言で言えば「梱包」である。彼の「梱包」は1958年、日用品の梱包から始まったが、もともとそのころから巨大な建物(後述のライヒスタークなど)や自然や公園の風景全体を梱包するアイデアはあった。1960年代以降、梱包は次第にその規模を巨大化させていく。美術館の建物を丸ごと梱包することにはじまり、オーストラリアの高さ約15メートル、長さ2キロメートルにおよぶ海岸を丸ごと梱包した「海岸の梱包」(1969)など、途方もない作品もある。「梱包」ではない作品には、コロラド州にあるロッキー山脈の幅400メートルもある谷に巨大なカーテンを吊るした「ヴァレー・カーテン」(1970-72)がある。 これらの「作品」はその性格上(布の性質、天候による破損のおそれ、自然に対する影響、担当役所による設置許可期間など)永続することは不可能で、もとよりクリストには恒久展示して永続させる意図はまったくなく(作品は夢のように現れ、夢のように消えて観客の中にしか残らない)、今は記録写真によってしか見ることはできない。見た者は、人工的な色の布で自然の風景が変わることや、見慣れた都会の風景が梱包で一変することに新鮮なショックをうける。もっとも巨大化する一方の梱包や、産業化したクリスト夫妻の作品制作に対する疑問もある。 1973年よりアメリカ国籍を持つ。それぞれのプロジェクトにかかる巨額の費用は、美術館や政府や企業などから一切の援助を受けることなく、プロジェクトの完成を予想したドローイングやコラージュ作品など、クリストの手によるオリジナル・アート作品の販売でまかなっている。また、プロジェクトは毎回、その梱包や作品設置の舞台となる場所の住民・政府官僚などとの許可が必要であり、しばしば反対運動や「これは芸術か否か」といった論争に巻き込まれており、1960年代の構想からそれぞれの実現まで数年から数十年がかかっている。 (ja)
  • クリストとジャンヌ=クロード (英語: Christo & Jeanne-Claude) は、環境アート作品を作成していた芸術家夫婦である。夫のクリストと妻のジャンヌ=クロードは同じ1935年6月13日生まれである。 20世紀の美術は芸術概念の拡張からさまざまな流派や傾向を生み、「アースワーク」「ハプニング」のような、従来の「美術」の枠組みからはずれたものも多い。ランド・アートの作家とされることもあるが、クリスト自身はその作品をランド・アートとみなしていない。こうした活動の美術史的評価はまだ定まっているとは言い難いが、クリストの活動はそれを肯定的に評価するかどうかは別問題として、「芸術とは何か」という問いをあらためて投げかけた点で、後世に記憶されるであろう。 その「作品」は一言で言えば「梱包」である。彼の「梱包」は1958年、日用品の梱包から始まったが、もともとそのころから巨大な建物(後述のライヒスタークなど)や自然や公園の風景全体を梱包するアイデアはあった。1960年代以降、梱包は次第にその規模を巨大化させていく。美術館の建物を丸ごと梱包することにはじまり、オーストラリアの高さ約15メートル、長さ2キロメートルにおよぶ海岸を丸ごと梱包した「海岸の梱包」(1969)など、途方もない作品もある。「梱包」ではない作品には、コロラド州にあるロッキー山脈の幅400メートルもある谷に巨大なカーテンを吊るした「ヴァレー・カーテン」(1970-72)がある。 これらの「作品」はその性格上(布の性質、天候による破損のおそれ、自然に対する影響、担当役所による設置許可期間など)永続することは不可能で、もとよりクリストには恒久展示して永続させる意図はまったくなく(作品は夢のように現れ、夢のように消えて観客の中にしか残らない)、今は記録写真によってしか見ることはできない。見た者は、人工的な色の布で自然の風景が変わることや、見慣れた都会の風景が梱包で一変することに新鮮なショックをうける。もっとも巨大化する一方の梱包や、産業化したクリスト夫妻の作品制作に対する疑問もある。 1973年よりアメリカ国籍を持つ。それぞれのプロジェクトにかかる巨額の費用は、美術館や政府や企業などから一切の援助を受けることなく、プロジェクトの完成を予想したドローイングやコラージュ作品など、クリストの手によるオリジナル・アート作品の販売でまかなっている。また、プロジェクトは毎回、その梱包や作品設置の舞台となる場所の住民・政府官僚などとの許可が必要であり、しばしば反対運動や「これは芸術か否か」といった論争に巻き込まれており、1960年代の構想からそれぞれの実現まで数年から数十年がかかっている。 (ja)
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  • クリストとジャンヌ=クロード (英語: Christo & Jeanne-Claude) は、環境アート作品を作成していた芸術家夫婦である。夫のクリストと妻のジャンヌ=クロードは同じ1935年6月13日生まれである。 20世紀の美術は芸術概念の拡張からさまざまな流派や傾向を生み、「アースワーク」「ハプニング」のような、従来の「美術」の枠組みからはずれたものも多い。ランド・アートの作家とされることもあるが、クリスト自身はその作品をランド・アートとみなしていない。こうした活動の美術史的評価はまだ定まっているとは言い難いが、クリストの活動はそれを肯定的に評価するかどうかは別問題として、「芸術とは何か」という問いをあらためて投げかけた点で、後世に記憶されるであろう。 これらの「作品」はその性格上(布の性質、天候による破損のおそれ、自然に対する影響、担当役所による設置許可期間など)永続することは不可能で、もとよりクリストには恒久展示して永続させる意図はまったくなく(作品は夢のように現れ、夢のように消えて観客の中にしか残らない)、今は記録写真によってしか見ることはできない。見た者は、人工的な色の布で自然の風景が変わることや、見慣れた都会の風景が梱包で一変することに新鮮なショックをうける。もっとも巨大化する一方の梱包や、産業化したクリスト夫妻の作品制作に対する疑問もある。 (ja)
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