About: Xist

Xist（X-inactive specific transcript）は、哺乳動物の胎盤上のX染色体に存在する非コードRNAで、X不活性化プロセスの主要なエフェクターとして機能する。他の2つのRNA遺伝子（Jpx、Ftx）、2つのタンパク質遺伝子（Tsx、Cnbp2）とともに 、Xic（X染色体不活性化中心）の構成要素 となっている。 Xist RNAは大きな転写産物（ヒトでは17kb） であり、不活性な染色体に発現し、活性な染色体には発現しない。スプライシングやポリアデニル化など、mRNAと同様の方法で処理される一方、翻訳はされない。このRNA遺伝子は、少なくとも部分的には、タンパク質をコードする遺伝子が偽遺伝子となって進化したものであると考えられている 。不活性化されたX染色体には、この転写産物がコーティングされており、不活性化には不可欠である 。Xistを持たないX染色体は不活性化されないが、他の染色体にXist遺伝子が重複すると、その染色体は不活性化されてしまう 。 ヒトXist遺伝子は、アンドレア・バラビオがcDNAライブラリーのスクリーニングにより発見し、キャロリン・J・ブラウンとハント・ウィラードとの共同研究により特性が明らかになった。