ヴァンデグラフ起電機(英: Van de Graaff generator)は静電発電機の一種。アメリカ人物理学者、R・J・ヴァン・デ・グラフによって1929年に発明された。バンデグラフ、ヴァンデグラーフ、ヴァン・デ・グラフなどとも表記する。ローラーによってゴムベルトを回転させて電荷を運び、絶縁性の柱の上に置かれた中空の金属球に溜めていくことで非常に高い電位差を作り出す。高圧の直流電圧を発生させることができる一方、電流は低く抑えられる。高電位部を空気で絶縁するタイプの装置では、近年5 MVの電位差が得られる。卓上用の簡便な機種でも電位差は数100 kVに達し、目に見える大きさのを発生させるのに十分なエネルギーを蓄えることができる。簡便なヴァンデグラフ起電機は静電気学の教材として、またはサイエンスショーや科学館での展示に用いられる。

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  • ヴァンデグラフ起電機(英: Van de Graaff generator)は静電発電機の一種。アメリカ人物理学者、R・J・ヴァン・デ・グラフによって1929年に発明された。バンデグラフ、ヴァンデグラーフ、ヴァン・デ・グラフなどとも表記する。ローラーによってゴムベルトを回転させて電荷を運び、絶縁性の柱の上に置かれた中空の金属球に溜めていくことで非常に高い電位差を作り出す。高圧の直流電圧を発生させることができる一方、電流は低く抑えられる。高電位部を空気で絶縁するタイプの装置では、近年5 MVの電位差が得られる。卓上用の簡便な機種でも電位差は数100 kVに達し、目に見える大きさのを発生させるのに十分なエネルギーを蓄えることができる。簡便なヴァンデグラフ起電機は静電気学の教材として、またはサイエンスショーや科学館での展示に用いられる。 ヴァンデグラフ起電機は物理研究用の粒子加速器として発展してきた。この種の起電機で得られる高電圧は、真空中で亜原子粒子を高速にまで加速させるために有用であった。加速エネルギーの大きさでは1930年代に考案されたサイクロトロン加速器に及ばないものの、エネルギーの安定性および制御性に優れ、粒子ビームの拡がりが小さいなどの利点があり、改良を重ねながら今日まで用いられ続けている。核物理学研究以外にも、核医学分野で高エネルギー粒子の発生やX線ラジオグラフィに用いられたり、をはじめとする微量元素分析や、材料分野でのイオン注入へ応用されることも一般的である。 ヴァンデグラフ装置のターミナル電位はアーク放電やコロナ放電の発生により制限されるが、現代の実用ヴァンデグラフ装置は絶縁ガスを満たした加圧タンクに収められているのが一般的であり、これにより電位差は最大で約25 MVに達する。実質的な電位差を増大させるため、グラウンドから高電位ターミナルまでを往還させながら多段階の加速を行う方式はタンデム型ヴァンデグラフ加速器(Tandem Van de Graaff)と呼ばれる。例として、25 MVのターミナル電位を持つタンデム加速器で多価の重イオンを加速させると、400 MeV以上のエネルギーを持つイオンビームを作り出すことができる。 (ja)
  • ヴァンデグラフ起電機(英: Van de Graaff generator)は静電発電機の一種。アメリカ人物理学者、R・J・ヴァン・デ・グラフによって1929年に発明された。バンデグラフ、ヴァンデグラーフ、ヴァン・デ・グラフなどとも表記する。ローラーによってゴムベルトを回転させて電荷を運び、絶縁性の柱の上に置かれた中空の金属球に溜めていくことで非常に高い電位差を作り出す。高圧の直流電圧を発生させることができる一方、電流は低く抑えられる。高電位部を空気で絶縁するタイプの装置では、近年5 MVの電位差が得られる。卓上用の簡便な機種でも電位差は数100 kVに達し、目に見える大きさのを発生させるのに十分なエネルギーを蓄えることができる。簡便なヴァンデグラフ起電機は静電気学の教材として、またはサイエンスショーや科学館での展示に用いられる。 ヴァンデグラフ起電機は物理研究用の粒子加速器として発展してきた。この種の起電機で得られる高電圧は、真空中で亜原子粒子を高速にまで加速させるために有用であった。加速エネルギーの大きさでは1930年代に考案されたサイクロトロン加速器に及ばないものの、エネルギーの安定性および制御性に優れ、粒子ビームの拡がりが小さいなどの利点があり、改良を重ねながら今日まで用いられ続けている。核物理学研究以外にも、核医学分野で高エネルギー粒子の発生やX線ラジオグラフィに用いられたり、をはじめとする微量元素分析や、材料分野でのイオン注入へ応用されることも一般的である。 ヴァンデグラフ装置のターミナル電位はアーク放電やコロナ放電の発生により制限されるが、現代の実用ヴァンデグラフ装置は絶縁ガスを満たした加圧タンクに収められているのが一般的であり、これにより電位差は最大で約25 MVに達する。実質的な電位差を増大させるため、グラウンドから高電位ターミナルまでを往還させながら多段階の加速を行う方式はタンデム型ヴァンデグラフ加速器(Tandem Van de Graaff)と呼ばれる。例として、25 MVのターミナル電位を持つタンデム加速器で多価の重イオンを加速させると、400 MeV以上のエネルギーを持つイオンビームを作り出すことができる。 (ja)
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  • 透明なプラスチック性の円柱の上に大きな金属球が載せられている。円柱の中には輪になったゴムベルトが見える。金属の支柱の先に付けられた小さめの金属球が大きな金属球の傍らに置かれている。二つの柱が取り付けられている基板には、ゴムベルトを駆動するための小型モーターも設置されている。 (ja)
  • 透明なプラスチック性の円柱の上に大きな金属球が載せられている。円柱の中には輪になったゴムベルトが見える。金属の支柱の先に付けられた小さめの金属球が大きな金属球の傍らに置かれている。二つの柱が取り付けられている基板には、ゴムベルトを駆動するための小型モーターも設置されている。 (ja)
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  • ベルトに電荷を付与するための下部くし型電極。 (ja)
  • ソーセージ型の上部電極を取り外したところ。 (ja)
  • ベルトから電荷を除去するための上部くし型電極。 (ja)
  • 学校教育用のヴァンデグラフ起電機。 (ja)
  • ヴァンデグラフ起電機。アクリル円柱の内部にあるゴムベルトをモーターによって駆動し、上方の金属球に電荷を送る。細い棒に取り付けられている金属小球は蓄積した電荷を放電するために用いる。 (ja)
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  • ヴァンデグラフ起電機。アクリル円柱の内部にあるゴムベルトをモーターによって駆動し、上方の金属球に電荷を送る。細い棒に取り付けられている金属小球は蓄積した電荷を放電するために用いる。 (ja)
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  • ヴァンデグラフ起電機(英: Van de Graaff generator)は静電発電機の一種。アメリカ人物理学者、R・J・ヴァン・デ・グラフによって1929年に発明された。バンデグラフ、ヴァンデグラーフ、ヴァン・デ・グラフなどとも表記する。ローラーによってゴムベルトを回転させて電荷を運び、絶縁性の柱の上に置かれた中空の金属球に溜めていくことで非常に高い電位差を作り出す。高圧の直流電圧を発生させることができる一方、電流は低く抑えられる。高電位部を空気で絶縁するタイプの装置では、近年5 MVの電位差が得られる。卓上用の簡便な機種でも電位差は数100 kVに達し、目に見える大きさのを発生させるのに十分なエネルギーを蓄えることができる。簡便なヴァンデグラフ起電機は静電気学の教材として、またはサイエンスショーや科学館での展示に用いられる。 (ja)
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