OpenMP(オープンエムピー)は、並列計算機環境において共有メモリ・マルチスレッド型の並列アプリケーションソフトウェア開発をサポートするために標準化されたAPIである。「OpenMP」は「open multiprocessing」の略である。 同様に並列コンピューティングに利用されるMPIでは、メッセージの交換をプログラム中に明示的に記述しなければならないが、OpenMPではディレクティブを挿入することによって並列化を行う。OpenMPが使用できない環境では、このディレクティブは無視されるため、並列環境と非並列環境でほぼ同一のソースコードを使用できるという利点がある。また、プラットフォーム固有のスレッドAPIを使わず、コンパイラによって暗黙的に生成されたスレッドプールを利用してタスクを振り分けることになるため、並列プログラムを簡潔に記述できるだけでなく、複数の環境に移植しやすくなる。 OpenMPは、並列プログラミングにおいて最も広く利用されているAPIであるが、共有メモリに対してに近いアクセスができるハードウェアシステムアーキテクチャでは、スケーラビリティに限界がある。そのため、現在のほとんどのスーパーコンピューターでは、OpenMP単独ではなく、分散メモリ環境で高いスケーラビリティを発揮するMPIと組み合わせた、ハイブリッドMPI+OpenMPが利用されている。

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  • OpenMP(オープンエムピー)は、並列計算機環境において共有メモリ・マルチスレッド型の並列アプリケーションソフトウェア開発をサポートするために標準化されたAPIである。「OpenMP」は「open multiprocessing」の略である。 同様に並列コンピューティングに利用されるMPIでは、メッセージの交換をプログラム中に明示的に記述しなければならないが、OpenMPではディレクティブを挿入することによって並列化を行う。OpenMPが使用できない環境では、このディレクティブは無視されるため、並列環境と非並列環境でほぼ同一のソースコードを使用できるという利点がある。また、プラットフォーム固有のスレッドAPIを使わず、コンパイラによって暗黙的に生成されたスレッドプールを利用してタスクを振り分けることになるため、並列プログラムを簡潔に記述できるだけでなく、複数の環境に移植しやすくなる。 MPIとの比較では、OpenMPは異なるスレッドが同一のデータを同じアドレスで参照できるのに対して、MPIでは明示的にメッセージ交換を行わなければならない。そのため、OpenMPは、SMP環境においては大きなデータの移動を行なわずにすむので高い効率が期待できる。ただし並列化の効率はコンパイラに依存するので、チューニングによる性能改善がMPIほど高くならないという問題がある。また、OpenMPはMPIに比べてメモリアクセスのローカリティが低くなる傾向があるので、頻繁なメモリアクセスがあるプログラムでは、MPIの方が高速な場合が多い。 OpenMPは、並列プログラミングにおいて最も広く利用されているAPIであるが、共有メモリに対してに近いアクセスができるハードウェアシステムアーキテクチャでは、スケーラビリティに限界がある。そのため、現在のほとんどのスーパーコンピューターでは、OpenMP単独ではなく、分散メモリ環境で高いスケーラビリティを発揮するMPIと組み合わせた、ハイブリッドMPI+OpenMPが利用されている。 現在FORTRANとC/C++について標準化が行われている。 (ja)
  • OpenMP(オープンエムピー)は、並列計算機環境において共有メモリ・マルチスレッド型の並列アプリケーションソフトウェア開発をサポートするために標準化されたAPIである。「OpenMP」は「open multiprocessing」の略である。 同様に並列コンピューティングに利用されるMPIでは、メッセージの交換をプログラム中に明示的に記述しなければならないが、OpenMPではディレクティブを挿入することによって並列化を行う。OpenMPが使用できない環境では、このディレクティブは無視されるため、並列環境と非並列環境でほぼ同一のソースコードを使用できるという利点がある。また、プラットフォーム固有のスレッドAPIを使わず、コンパイラによって暗黙的に生成されたスレッドプールを利用してタスクを振り分けることになるため、並列プログラムを簡潔に記述できるだけでなく、複数の環境に移植しやすくなる。 MPIとの比較では、OpenMPは異なるスレッドが同一のデータを同じアドレスで参照できるのに対して、MPIでは明示的にメッセージ交換を行わなければならない。そのため、OpenMPは、SMP環境においては大きなデータの移動を行なわずにすむので高い効率が期待できる。ただし並列化の効率はコンパイラに依存するので、チューニングによる性能改善がMPIほど高くならないという問題がある。また、OpenMPはMPIに比べてメモリアクセスのローカリティが低くなる傾向があるので、頻繁なメモリアクセスがあるプログラムでは、MPIの方が高速な場合が多い。 OpenMPは、並列プログラミングにおいて最も広く利用されているAPIであるが、共有メモリに対してに近いアクセスができるハードウェアシステムアーキテクチャでは、スケーラビリティに限界がある。そのため、現在のほとんどのスーパーコンピューターでは、OpenMP単独ではなく、分散メモリ環境で高いスケーラビリティを発揮するMPIと組み合わせた、ハイブリッドMPI+OpenMPが利用されている。 現在FORTRANとC/C++について標準化が行われている。 (ja)
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  • 並列プログラミングAPI、言語拡張 (ja)
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  • OpenMPはMPIに比べてメモリアクセスのローカリティが低くなる傾向があるので、頻繁なメモリアクセスがあるプログラムでは、MPIの方が高速な場合が多い (ja)
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  • OpenMP(オープンエムピー)は、並列計算機環境において共有メモリ・マルチスレッド型の並列アプリケーションソフトウェア開発をサポートするために標準化されたAPIである。「OpenMP」は「open multiprocessing」の略である。 同様に並列コンピューティングに利用されるMPIでは、メッセージの交換をプログラム中に明示的に記述しなければならないが、OpenMPではディレクティブを挿入することによって並列化を行う。OpenMPが使用できない環境では、このディレクティブは無視されるため、並列環境と非並列環境でほぼ同一のソースコードを使用できるという利点がある。また、プラットフォーム固有のスレッドAPIを使わず、コンパイラによって暗黙的に生成されたスレッドプールを利用してタスクを振り分けることになるため、並列プログラムを簡潔に記述できるだけでなく、複数の環境に移植しやすくなる。 OpenMPは、並列プログラミングにおいて最も広く利用されているAPIであるが、共有メモリに対してに近いアクセスができるハードウェアシステムアーキテクチャでは、スケーラビリティに限界がある。そのため、現在のほとんどのスーパーコンピューターでは、OpenMP単独ではなく、分散メモリ環境で高いスケーラビリティを発揮するMPIと組み合わせた、ハイブリッドMPI+OpenMPが利用されている。 (ja)
  • OpenMP(オープンエムピー)は、並列計算機環境において共有メモリ・マルチスレッド型の並列アプリケーションソフトウェア開発をサポートするために標準化されたAPIである。「OpenMP」は「open multiprocessing」の略である。 同様に並列コンピューティングに利用されるMPIでは、メッセージの交換をプログラム中に明示的に記述しなければならないが、OpenMPではディレクティブを挿入することによって並列化を行う。OpenMPが使用できない環境では、このディレクティブは無視されるため、並列環境と非並列環境でほぼ同一のソースコードを使用できるという利点がある。また、プラットフォーム固有のスレッドAPIを使わず、コンパイラによって暗黙的に生成されたスレッドプールを利用してタスクを振り分けることになるため、並列プログラムを簡潔に記述できるだけでなく、複数の環境に移植しやすくなる。 OpenMPは、並列プログラミングにおいて最も広く利用されているAPIであるが、共有メモリに対してに近いアクセスができるハードウェアシステムアーキテクチャでは、スケーラビリティに限界がある。そのため、現在のほとんどのスーパーコンピューターでは、OpenMP単独ではなく、分散メモリ環境で高いスケーラビリティを発揮するMPIと組み合わせた、ハイブリッドMPI+OpenMPが利用されている。 (ja)
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