『オリンピックの身代金』(オリンピックのみのしろきん)は、奥田英朗による日本の小説。『野性時代』(角川書店)にて2006年7月号から2008年10月号まで連載された。2005年に刊行された『ララピポ』以来、3年ぶりとなる長編作品。第43回吉川英治文学賞受賞作。2013年にテレビ朝日開局55周年記念番組「55時間テレビ」の一環としてとしてテレビドラマ化された。 主人公の東京大学院生・島崎国男は、深刻な地域格差や貧富の差に疑問と憤りを抱き、オリンピック妨害という大それた犯行を計画するが、島崎の中に強い信念があるわけではなく、成り行きと運とヒロポンによりテロリストへとなっていく様子と、島崎が起こした事件を国民に知らせないまま極秘に捜査し、解決された後も、島崎の存在とオリンピック妨害未遂の事実を隠蔽した警察の姿勢は、何とも言えない空疎な恐ろしさを感じさせ、他のサスペンスにはない奇妙な味わいを持っている。