時間結晶(じかんけっしょう、英: Time crystal)もしくは時空間結晶(じくうかんけっしょう、英: Space-time crystal)は、全く同じ物理条件でエネルギーを加えているにもかかわらず、時間(試行回数)によって結果が変化する現象。ここでいう結晶とは物質ではなく状態をさす物理学上の用語であり、時間結晶とは時間によって物理法則が変化する(対称性が破れている)現象もしくは状態をいう。例えば「液体」や「固体」という物質そのものがあるわけではなく、「液体」や「固体」という状態があるのと同じである。量子力学でいう状態の重ね合わせは、時間対称性が破れている状態といえるため、量子論とも関係が深い。 普通の3次元結晶は空間的に繰り返しのパターンを持っているが、時間が経過しても不変である。時間結晶は時間に対しても自身を繰り返し、結晶を刻々と変化させる。時間結晶は非平衡物質の1つであるため熱平衡に達することはない。この物質の形態は2012年に提案され2017年に初めて観測された。この状態は環境から隔離することはできず、非平衡状態の開放系である。

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  • 時間結晶(じかんけっしょう、英: Time crystal)もしくは時空間結晶(じくうかんけっしょう、英: Space-time crystal)は、全く同じ物理条件でエネルギーを加えているにもかかわらず、時間(試行回数)によって結果が変化する現象。ここでいう結晶とは物質ではなく状態をさす物理学上の用語であり、時間結晶とは時間によって物理法則が変化する(対称性が破れている)現象もしくは状態をいう。例えば「液体」や「固体」という物質そのものがあるわけではなく、「液体」や「固体」という状態があるのと同じである。量子力学でいう状態の重ね合わせは、時間対称性が破れている状態といえるため、量子論とも関係が深い。 普通の3次元結晶は空間的に繰り返しのパターンを持っているが、時間が経過しても不変である。時間結晶は時間に対しても自身を繰り返し、結晶を刻々と変化させる。時間結晶は非平衡物質の1つであるため熱平衡に達することはない。この物質の形態は2012年に提案され2017年に初めて観測された。この状態は環境から隔離することはできず、非平衡状態の開放系である。 時間結晶のアイデアは2012年にノーベル賞受賞者でマサチューセッツ工科大学教授のフランク・ウィルチェックにより最初に記述された。後により緻密な定義を作成した。これらは平衡状態で存在できないことが証明された。次に2014年にクラクフのヤグェウォ大学のKrzysztof Sachaは周期駆動の多体系における離散時間結晶の振る舞いを予測した。2016年、カリフォルニア大学バークレー校のNorman Yaoらはスピン系において時間結晶を作り出すという別の手法を提案した。それよりクロストファー・モンローとMikhail Lukinは独立に自身の研究室でこれを確認した。どちらの実験も2017年にNatureで発表された。 (ja)
  • 時間結晶(じかんけっしょう、英: Time crystal)もしくは時空間結晶(じくうかんけっしょう、英: Space-time crystal)は、全く同じ物理条件でエネルギーを加えているにもかかわらず、時間(試行回数)によって結果が変化する現象。ここでいう結晶とは物質ではなく状態をさす物理学上の用語であり、時間結晶とは時間によって物理法則が変化する(対称性が破れている)現象もしくは状態をいう。例えば「液体」や「固体」という物質そのものがあるわけではなく、「液体」や「固体」という状態があるのと同じである。量子力学でいう状態の重ね合わせは、時間対称性が破れている状態といえるため、量子論とも関係が深い。 普通の3次元結晶は空間的に繰り返しのパターンを持っているが、時間が経過しても不変である。時間結晶は時間に対しても自身を繰り返し、結晶を刻々と変化させる。時間結晶は非平衡物質の1つであるため熱平衡に達することはない。この物質の形態は2012年に提案され2017年に初めて観測された。この状態は環境から隔離することはできず、非平衡状態の開放系である。 時間結晶のアイデアは2012年にノーベル賞受賞者でマサチューセッツ工科大学教授のフランク・ウィルチェックにより最初に記述された。後により緻密な定義を作成した。これらは平衡状態で存在できないことが証明された。次に2014年にクラクフのヤグェウォ大学のKrzysztof Sachaは周期駆動の多体系における離散時間結晶の振る舞いを予測した。2016年、カリフォルニア大学バークレー校のNorman Yaoらはスピン系において時間結晶を作り出すという別の手法を提案した。それよりクロストファー・モンローとMikhail Lukinは独立に自身の研究室でこれを確認した。どちらの実験も2017年にNatureで発表された。 (ja)
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  • 時間結晶(じかんけっしょう、英: Time crystal)もしくは時空間結晶(じくうかんけっしょう、英: Space-time crystal)は、全く同じ物理条件でエネルギーを加えているにもかかわらず、時間(試行回数)によって結果が変化する現象。ここでいう結晶とは物質ではなく状態をさす物理学上の用語であり、時間結晶とは時間によって物理法則が変化する(対称性が破れている)現象もしくは状態をいう。例えば「液体」や「固体」という物質そのものがあるわけではなく、「液体」や「固体」という状態があるのと同じである。量子力学でいう状態の重ね合わせは、時間対称性が破れている状態といえるため、量子論とも関係が深い。 普通の3次元結晶は空間的に繰り返しのパターンを持っているが、時間が経過しても不変である。時間結晶は時間に対しても自身を繰り返し、結晶を刻々と変化させる。時間結晶は非平衡物質の1つであるため熱平衡に達することはない。この物質の形態は2012年に提案され2017年に初めて観測された。この状態は環境から隔離することはできず、非平衡状態の開放系である。 (ja)
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  • 時間結晶 (ja)
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