啓典(けいてん)は、イスラム教において唯一神(アッラーフ)から諸預言者に下された四つの啓示の書物のこと。クルアーン以外の書物は、旧約聖書や新約聖書を内包される。 1. * ムーサー(モーセ)に下された『』(『モーセ五書』) 2. * ダーウード(ダビデ)に下された『ザブール』(『詩篇』) 3. * イーサー(イエス)に下された『インジール』(『福音書』) 4. * ムハンマドに下された『クルアーン』(『コーラン』) また、クルアーンを、唯一神がムハンマドを通じて伝えた言葉として、教典にし、これに従うことをもいう。これは六信のひとつ。 ただし上記の4つの啓典は、クルアーンと同等というわけではない。キリスト教徒による改竄や悪意のない誤写、善意の辻褄合わせ等によって、本来のものとは文面の食い違っているところがあるとされ、その点は憶測や詮索あるいは研究の対象として認められる。そういう意味では、絶対不可侵のクルアーンよりは一段も二段も下に置かれるものである。