『いはでしのぶ』は、鎌倉時代の擬古物語。作者未詳。 題名は作中歌「思ふこといはで忍ぶの奥ならば袖に涙のかからずもがな」による。全8巻の長編物語と見られるが、現存するのは第1巻・第2巻のみ。成立年代は不詳だが、『無名草子』にはこの物語に関する記述がなく、一方『風葉和歌集』に33首の歌が収録されていることから、鎌倉時代前期、少なくとも文永8年(1271年)以前の成立と考えられる。『源氏物語』『狭衣物語』の影響が濃い。 内大臣と関白の恋の鞘当て、そして右大将(関白の息子)の悲恋と出家を描く。